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レポート

スイス再保険は、保険需要の高まり、堅調な保険料の伸びを予想しています

Senior farmer in overalls standing beside flood area on field. Natural disasters in agriculture

2021年9月のランデ・ヴー(世界中の保険会社と再保険会社が集う再保険会議)に先駆けて、ICMIF賛助会員のスイス再保険(Swiss Re)は、市場の状況と更新シーズンへの影響について見解を発表しまし。現在の環境下における再保険会社にとって重要な論点は、長期的な傾向とその影響によるリスクの高まりです。

スイス再保険は、エクスポージャーの増加、リスク意識の高まり、顧客ニーズの進化により、保険市場の保険料の伸びが続くと予想しています。スイス再保険総合研究所によると、損害保険料は2021年末までにCOVID-19以前の水準より10%高くなると予想されます。リスク・トレンドの高まりにより、保険によるリスク防御の必要性が高まる一方で、評価とモデリングに重点を置き、リスクに見合った価格設定を行う必要があります。

スイス再保険の最高経営責任者(CEO)であるモーゼス・オジェイセホバ(Moses Ojeisekhoba)氏は、「最近の自然災害やサイバー事件に見られるように、保険請求の頻度と深刻度が高まっているという明確な認識があります。これは、リスク防御の必要性が高まっていることを意味しており、業界は保険を提供し、リスク防御のギャップを埋めるために重要な仕事をしていることを意味します。スイス再保険の広範なリスク知識と非常に強固な資本基盤により、お客様の成長意欲をサポートすることができます。」と、述べています。

気候変動は世界経済に最大かつ長期的な脅威をもたらします。スイス再保険総合研究所によると、緩和措置を講じなければ、世界経済は2050年までに気候変動によって国内総生産の最大18%が失われます。特に、洪水や山火事などの二次的な危険によるリスクが都市化によって増大しており、これまで以上に大きく、地域社会や資産が極端な気候変動にさらされることになります。また、デジタル化と相互接続の進展は、例えばサイバー保護の分野など、現在のリスク状況に拍車をかけています。

その結果、保険によるリスク防御の必要性が高まり、エクスポージャーの増加を反映した保険料が必要となるため、保険料の見通しは堅調なものになるでしょう。スイス再保険総合研究所によると、損害保険料は2021年末までにCOVID-19以前の水準を10%上回る6.9兆米ドル(758兆5,860億円)に達し、2022年には史上初めて7兆米ドル(769兆5,800億円)を超えると予想されています

気候変動は世界経済にとって大きな脅威ですが、大規模な投資が必要となるため、業界にとって最大の成長機会でもあります。スイス再保険総合研究所によると、世界の持続可能な開発のための2030アジェンダを達成するためには、年間6.9兆米ドル(758兆5,860億円)の投資が必要になります。

再保険会社もインフレ・リスクの上昇に備える必要があります。消費者物価上昇圧力は近い将来も高い水準を維持すると予想され、特に損害保険金に関連する医療費や賃金のインフレ圧力は、中期的に高まると予想されます。さらに、米国の社会インフレ傾向は、訴訟環境が原因で続くと考えられます。保険料率の設定はこれらの傾向を反映し、保険金請求の増加を見込む必要があります。

スイス再保険のグループチーフ・アンダーライティング・オフィサー、ティエリー・レジェ(Thierry Léger)氏は、「リスク環境が変化し、リスクがより複雑になるにつれて、これらのリスクの傾向を評価し、モデル化し、リスクに対して見合う保険料率の設定に一層注力する必要があります。そのため、低金利が続く環境下では、引受能力の重要性はさらに高まっています。スイス再保険では、科学、技術、データ主導の引受アプローチに引き続き注力しています。」と、述べています。

スイス再保険は、バリューチェーン全体のデータ機能をアップグレードするために多額の投資を続けており、データの強みを総合的に活用することで、データに支えられた引受組織からからデータ主導の引受組織に変革しています。データ主導型の洞察力と分析主導のプロセス(機械学習、自然言語処理)は、関連するデータポイントをより包括的に把握し、基準への適合性を促進し、引受決定に関する正確で公平な視点を醸成します。これはスイス再保険の顧客の利益にもなると考えられます。

また、テクノロジーとデータへの継続的な投資は、スイス再保険のソリューション・アプローチの重要な要素であり、顧客に既存および新規のリスク管理の支援を提供する基盤となっています。前に述べた損害の傾向が現れ、リスクがより複雑化するにつれて、元受保険会社は、資本を提供するだけでなく、知識、リスク評価に対する自信、リスクの分散を提供してくれる再保険会社を求めています。

スイス再保険の最高経営責任者(CEO)であるモーゼス・オジェイセホバ氏は、「私たちは、主要なパートナーと協力して、保険のバリューチェーン全体の問題に取り組んでいます。私たちは、これらのパートナーシップを通じて、スイス再保険のグローバルな能力と経験を活用することで、お客様が測定可能なインパクトを与えながら価値を最大化するための最良の支援ができると確信しています。このようにして、業界全体で新しいビジネスモデルを実現し、保険の限界を押し広げ、リスク防御のギャップを減らすことができるのです。」と、述べています。

※ 文中の金額は1米ドル=109.94円で換算

ICMIFサイトの英語ニュース記事(以下にリンクを表示)を許可を得て翻訳・転載しています。

https://www.icmif.org/news_story/swiss-re-sees-growing-demand-for-insurance-protection-positive-outlook-for-premiums/

掲載日付2021.9.9