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IBISA(ルクセンブルグ)は農業保険に革命を起こすために150万ユーロの起業前資金を調達しました

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インシュアテックの新興企業であるIBISA(ルクセンブルグ、ICMIF準会員)は、インシュアテック・ゲートウェイ(Insurtech Gateway)が主導する150万ユーロ(1億9,255万5,000円)のシード資金(起業前資金)を調達しました。これは、既存市場でのプレゼンス拡大と新規市場への進出に使用される予定です。IBISAは、保険に対する革新的なアプローチによって、世界的な農業生態系(agricultural ecosystem)が気候リスクを管理する方法に革命を起こすことを期待しています。

IBISAは、農業分野、特に新興国の小規模農家向けに気候保険商品を開発しています。これらの農家は、従来の保険商品へのアクセスや購入に苦労しているため、リスクを管理する方法がありません。気候変動の影響が顕在化し、異常気象が常態化するなか、農民が自分自身と食品生態系全体を守る方法を見つけることがこれまで以上に重要になっています。しかし、新興国の農家の98%は保険に加入していません。

農業保険の画期的なソリューション

Insurtech Gateway共同創設者であるスティーブン・ブリッテン(Stephen Brittain)氏よると、歴史的に、マイクロインシュアランスは、低い保険料、高額な事務処理、運営の難しさ、信頼の低さなどの多くの理由により、商業的に実行可能ではありませんでした。しかし、IBISAは、ブロックチェーン技術と衛星データを使用して、小規模農家向けの手頃な保険商品を開発しています。

彼らはこれを3つの方法で行います。まず、衛星データを使用して、干ばつ、豪雨、サイクロンなどの異常気象に対応する保険商品を作ります。使用される地球規模の観測データの大部分は、欧州宇宙機関のコペルニクス・プログラムからのものです。次に、IBISAは、地元の保険会社が保険商品を販売・運用するための費用効果の高い方法を可能にするプラットフォームを提供します。そして最後に、保険数理技術そのものを提供します。

IBISAの共同創設者兼CEOであるマリア・マテオ(Maria Mateo)氏がIBISAを設立するきっかけになったのは、彼女の家庭環境でした。「私は農業の出身で、予測できない気象現象に直面してきました。衛星業界で15年間働いた後、リモートセンシングやブロックチェーンなどの技術の現状を目の当たりにして、農業保険をより良いものに変える機会を得ました。」

保険のバックグラウンドを持つ彼女の共同創設者とともに、彼女は小規模農業のための画期的な対応策を開発することができました。

ソリューションは、新興市場の小規模農業を対象としています

現在、最初の取り組みとして、異常気象の影響を受けているインドとフィリピンの2つの市場で事業が運営されています。事業の運営にあたって、IBISAICMIF会員団体のCLIMBS(フィリピン)DHAN財団IFFCO-TOKIO(インド)と連携しています。これらの地域では、ヨーロッパや米国などの先進国よりも小規模農業がはるかに多く、小規模農業を対象にした従来の保険商品を構築することは困難です。しかし、そのような農家こそ、保険を最も必要としています。プラス面としては、EUなどと比較してインシュアテックに対する規制上の障壁が少ないため、革新的な保険商品の発売が容易になっています。

しかし、これらの地域で直面する最大の課題は、小規模農家に保険の価値を納得させることです。これまで、多くの農家は保険にお金を払ったことがなく、保険は普及しませんでした。マテオ氏は「あなたが融資を受ければすぐにあなたのポケットにお金をが入ってきます。しかし、保険はあなたに何かあったときにのみお金を支払います。そして、願わくばこのようなことは毎年起こらないでほしいものです。」と指摘します。信頼関係を築くために、IBISAはこれらの農家と直接つながっている地元の信頼できる組織と連携しています。

現在まで、IBISAはこれらの地域で真の成功を収めています。彼らはフィリピンの15の州で活動しており、2022年初頭には新らな州に事業を拡大する予定です。インドでは現在、数百万の小規模小作農を抱える2つの州で活動しており、ここでも事業の成長を見込んでいます。長期的には、彼らは新しい市場への参入することも視野に入れており、西アフリカにも潜在的な可能性があるとみています。そしてもちろん、将来的にはヨーロッパにこの技術を導入する機会があると考えています。

今年初め、CLIMBSは、 IBISAGlobal ParametricsCIAT(国際熱帯農業センター)と共同で、農家や農業従事者向けに強化したWeather Protect Insurancer 正式に発売しましたICMIFも技術支援の提供を通じてこのコラボレーションを支援しました。

※ 文中の金額は1ユーロ=128.37円で換算

ICMIFサイトの英語ニュース記事(以下にリンクを表示)を許可を得て翻訳・転載しています。

https://www.icmif.org/news_story/ibisa-secures-eur-1-5m-seed-funding-to-revolutionise-agricultural-insurance/

掲載日付2021.12.20