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ICMIF事務局長と会員団体がUNDRRの災害リスク軽減のためのグローバルプラットフォームで講演します

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ショーン・ターバック(Shaun Tarbuck)ICMIF事務局長とICMIF会員2団体のCEOが、5月23日から28日にインドネシア政府主催にてバリ島で開催される国連防災局(UNDRR)の「災害リスク軽減のためのグローバル・プラットフォーム(GP2022)」の第7セッションで講演します。 グローバル・プラットフォームは、仙台防災フレームワーク(The Sendai Framework for Disaster Risk Reduction)の進捗状況を評価し、議論するための主要な世界会議で、インドネシア政府とUNDRRが共同議長を務めます。

ターバック事務局長は、5月23日(月)にWRC5テクニカル・セッション「重要なインフラ復旧への取り組み(Addressing critical Infrastructure recovery)」、5月24日(火)にセッション「環境・社会・ガバナンス(ESG)投資における回復力のある統合の重要性– ESG+Rアプローチ(The importance of integrating resilience in environmental, social, and governance (ESG) investing – an ESG+R approach)」に参加します。 カナダのコーポレーターズ(Co-operators)の社長兼CEOでICMIF副会長でもあるロブ・ウェッセリング(Rob Wesseling)氏は、5月25日(水)のテーマ別セッション「より良い未来の構築:万人のための回復力のあるインフラへの投資(Building a Better Future: Investing in Resilient Infrastructure for All)」に参加します。最後に、アジア・アフィニティ(Asia Affinity、香港、ICMIFその他会員)CEOのグラハム・クラーク(Graham Clark)氏が、5月27日(金)に「リスク防止のための資金調達の加速(Accelerating Financing for Risk Prevention)」に関するハイレベル対話に参加します(各セッションの詳細については、以下を参照)。

2019年11月、ICMIFとUNDRRは、 災害リスクを軽減するという緊急課題に対応するため、複数年にわたる協働を開始しました。そして、「保護から予防へ:災害リスク軽減における協同組合保険・相互保険の役割」というレポートをまとめ、災害リスクから被保険者を保護する手段としてリスク移転商品・サービスの提供に重点を置くという視点から、災害リスク軽減の取り組み、意識、能力、資金調達を通した予防に重点をシフトするためには何が必要かを明らかにしました。これに基づいて、ICMIFは「ICMIF Prevention Hub」を立ち上げ、世界中の相互保険会社における多くのリスク削減事例を紹介しています。

仙台防災フレームワークの採択から7年、COVID-19パンデミックの始まりから2年余り、世界中で最も脆弱で不平等な立場にいる多くの人々が壊滅的な影響を受けていることが明らかになりました。パンデミックは、私たちがすべての人の持続可能な未来を実現するためには、予防とリスク軽減の課題がいかに不可欠であるかを示しています。「2022年グローバル・プラットフォーム(GP2022)」は、国際的な連帯と協力の重要性を示し、地域と世界の両方で根本的なリスク要因に取り組む方法を議論するユニークでタイムリーな機会を提供します。さらに、災害リスク統治を強化し、あらゆる種類のリスクを管理するためのより強力なシステムを構築する方法について模索します。GP2022は、すべての利害関係者が持続可能な開発の達成に向けて、災害リスク軽減の進展を加速させることを決意する機会を提供するものです。

GP2022は、COVID-19の悲劇から学び、災害リスクの軽減に向けた取り組の成功と課題を評価し、災害による被害に対する回復力と持続可能な開発に向けた前進を加速するために、国際社会が集まる場となります。」と災害リスク軽減事務総長特別代表でUNDRR代表の水鳥真美氏(写真)は述べています。

重要なインフラの復旧に取り組む

インフラ・システムは、自然災害や人災、気候変動の影響をますます受けやすくなっていることが明らかになっています。復興策の準備と実行による災害被害からの復興への取り組みには、インフラ・システムとネットワークに弾力性と持続可能性を組み込む必要があります。復興戦略は、災害や気候変動の悪影響に対する第一線の防御を提供する主要分野の回復力を強化することができます。

しかし、今日における現実は、災害復興が計画されず、資金不足に陥ることがよくあります。また、より良い復興への準備も限定的で、通常は災害後の検討事項としてのみ扱われています。災害の頻度と激しさが増していることを考えると、必要な資源を割り当て、分野を超えて回復力を高め、リスクを軽減する復旧活動能力を高めるために、さらに多くのことを行う必要があります。

このセッションでは、重要なインフラ管理における回復力の統合に関する協力な政策の必要性、インフラ復旧に資金を提供するための選択肢、インフラやサービスの損失・損傷データ収集に関する問題について、PDNA手法の改善も含めて議論されます。

環境、社会、ガバナンス(ESG)投資に回復力を統合することの重要性– ESG+Rアプローチ

災害による直接的・間接的な経済的損失が増加しています。災害は、経済、財政、社会に大きなショックを与えます。適切な災害リスク軽減戦略へ全世界で1.6兆ユーロ(216兆3,680億円)の投資を行えば、6.4兆ユーロ(856億4,720億円)の損失を回避できると試算されています。しかし、現在の回復力のある投資の水準は、課題の規模にみあったものとはなっていません。

民間企業やその他の利害関係者は、環境・社会・ガバナンス(ESG)の基準を業務に組み込んでいます。COVID-19のパンデミックによる経済的悪影響は、複雑かつ相互に関連した形で顕在化するリスクに対処する必要があることを示しています。レジリエンスをESG投資に回復力を組み込むことは、次のことが必要になる可能性があります。

  • ターゲットを絞ったDRR資金調達戦略を策定する。
  • すべての投資において「回復力を考える」アプローチ。
  • 回復力のあるインフラへ的を絞った投資。
  • 金融機関は、その戦略、運営、活動を仙台防災フレームワークと連携させる。

このセッションでは、人々と地球を最優先に考えた回復力への投資を促進し、拡大するためのギャップ、障壁、機会、実現要因について議論します。

より良い未来の構築:すべての人のための回復力のあるインフラへの投資

持続可能で回復力のあるインフラは、地域社会と環境へのショックに対する第一の防衛線を提供し、復旧努力の支援に重要です。堅牢で回復力のあるインフラは、地域や国の経済成長の重要な推進力となります。

しかし、既存のインフラ・システムとそれらが提供するサービスは、自然災害や人災、気候変動の影響からますます影響を受けていることが明らかになっています。災害リスク軽減(DRR)の管理と資金調達に対する現在のアプローチは、災害リスクの急な発生と複雑化に遅れをとっています。

このセッションでは、協調した取り組みが必要な重要問題について議論します。

  • 回復力のあるインフラの包括的ベンチマークの確立する。
  • 仙台防災フレームワークのターゲットDに関するデータの増加・収集方法を改善する。
  • 国のDRR戦略にインフラ復元力を含める。
  • すべてのインフラ投資における「回復力を考える」アプローチ。
  • 国際・国内金融機関、開発銀行に対し、戦略、運用、活動を2030年の目標と合わせるよう要請する。
  • 特定の国の要件(SIDSやLDCなど)と最も脆弱な国の特定のニーズを考慮する。

リスク防止のための資金調達の加速

COVID-19のパンデミックは、各国政府がリスクに対して体系的に取り組む準備がいかに不足していたか、予防と回復力の優先順位が低く、投資が不十分であったかを露呈しました。気候への影響が現実のものとなるにつれ、脆弱な集団が最も影響を受けると予想される災害による損失に直面し続けます。

政治指導者は今日、ますます厳しい財政状況と、不足している公的資源を緊急救済に割り当てるか、より包括的な持続可能な復興に投資するかについてのジレンマに直面しています。COVID-19の時代における開発金融は、気候変動に対処し、全体的な持続可能性を確保しながら、短期と長期の橋渡しをするために事前の災害リスク削減に投資することの価値を認識しています。しかし、そのような投資には、公共部門だけでなく投資や金融部門においても考え方を根本的に変える必要があります。リスクを考慮した持続可能な開発の道筋を実現するには、現在と将来のリスクを考慮した長期的思考への移行が必要です。

このハイレベル対話では、予防のための包括的資金調達を強化するための選択肢を明らかにします。また、すべての公的および民間部門の投資において必要な「回復力を考える(Think Resilience)」資金調達アプローチを議論し、解き明かします。

今年後半には、水鳥真美氏がICMIF 100周年記念会議(10月25〜28日、イタリア、ローマ)で講演されます。会議には、「保護から予防への移行」に関するセッションが含まれており、ICMIFは、UNDRRと共同で開発された新しいベンチマークツールを提示し、会員団体における予防活動の世界基準に照らした組織の測定を支援します。このセッションには、仙台防災フレームワークの実施に役立つ新しい技術革新と予防策の実践的な事例も含まれます。

今年末、水鳥真美氏にICMIF創立100周年記念会議(10月25日~28日、イタリア・ローマ)の講演者の一人として、会議に参加いただきます。会議の議題には、「保護から予防へ(Shifting from protection to prevention)」というセッションがあり、ICMIFはUNDRRと共同開発した新しいベンチマーク・ツールを紹介し、会員団体が予防活動の世界標準に照らした組織評価ができるようにする予定です。このセッションでは、仙台防災フレームワークの実施に役立つ新しい技術革新や防災への取り組み実践例も紹介する予定です。

※ 文中の金額は1ユーロ=135.23円で換算

ICMIFサイトの英語ニュース記事(以下にリンクを表示)を許可を得て翻訳・転載しています。

https://www.icmif.org/news_story/icmif-ceo-and-members-to-speak-at-the-undrrs-global-platform-for-disaster-risk-reduction/

掲載日付2022.5.23