2023年11月2日、ロンドン（英国）で開催されたICMIFサステナビリティ・サミットで、ICMIFは「ICMIF保険SDGベンチマーク( ICMIF Insurance SDG Benchmark」を発表しました。このベンチマークは、ICMIF 会員団体の「持続可能な保険の開発目標 (i-SDG: insurance Sustainable Development Goals )」 スコアから導き出されます。2022年10月にローマ（イタリア）で開催されたICMIF100周年会議で発表された、iSDGsに対する保険の影響を定量化する初のツールとしてICMIFとスイス再保険総合研究所(Swiss Re Institute)が2022年に共同開発した「ICMIF 監修による保険SDG計算機(ICMIF-calibrated Insurance SDG Calculator)」に続くものです。このフレームワークはSDGsへの保険関連の適応を開発することを目的とする国連持続可能な保険原則（UN PSI）のiSDGイニシアチブから発想を得たものです。ICMIF が監修したフレームワークにより、ICMIF 会員団体は組織の保険ポートフォリオや事業運営における iSDG の持続可能性への影響を測定することができます。
2023年の1年をかけて、スイス再保険総合研究所と複数のICMIF会員団体が、「ICMIFが監修したフレームワーク(保険SDG計算機)」を使ってそれぞれのiSDG組織スコアを算出しました。この作業では、作業に参加した会員団体における49 指標とSDGsの17目標に対するスコアを計測し、スイス再保険総合研究所は匿名化した計測結果を ICMIF の最初の保険 SDG ベンチマークとして集計しました。このベンチマークにより、この作業に参加した会員団体は他団体との比較評価を行うこともできます。ICMIFとスイス再保険総合研究所が共同開発した「ICMIFが監修したフレームワーク(保険SDG計算機)」と「ICMIF保険SDGベンチマーク」の詳細については、こちらをご覧ください。
ショーン・ターバック(Shaun Tarbuck)ICMIF事務局長は次のように述べています。「ICMIF が監修した保険 SDG 計算機を使用すると、会員団体はサステナビリティ関連のパラメータに対する自組織の事業影響の測定と追跡ができます。ICMIF保険ベンチマークは、2022年10月のICMIF100周年記念式典で発表された、2023年からの4年間におけるICMIF戦略である「目的と影響力を持って主導する」の成功を定量的に測定する基準を提供します。」
このツールは、会員団体がSDGへの取り組みについて具体的な指標を利用できるようにすると同時に、開発の重要分野を特定することでICMIFの現在の戦略をサポートします。スコアリング作業が完了し、改善の余地がある分野が特定されると、会員団体はICMIFのネットワークを活用して他の会員団体の最適事例を学び、サステナブルな未来に向けて取り組みながら独自のSDG戦略をさらに発展させることができます。
「ICMIF会員団体は、iSDGインパクト指標とICMIF SDGベンチマークを利用し、分析で得たデータを用いて課題解決や意思決定を行う「データに基づいたアプローチ(Data-driven approach)」により事業戦略を情報化できます。」とスイス再保険総合研究所の研究商業化責任者のアリシア・モントーヤ(Alicia Montoya)氏は述べています。「さらに、保険組織はスイス再保険のSDGアナリティクス・コンサルティング・サービスを活用して、ポートフォリオ/商品レベルでSDGへの影響指標を掘り下げ、リスクと機会を特定し、移行戦略の最適化に役立つシナリオをシミュレーションすることができます。」
「ICMIF が監修した保険 SDG計算機」は、相互扶助の違いを確実に反映するために、相互扶助団体や協同組合が職員や組合員である保険契約者のニーズを優先する方法を強調できるように、ICMIF 会員団体の協力によって作成され、検証されました。このツールは、ICMIF会員団体自身の保険の持続可能性への影響を測定し、相互扶助セクターと世界の保険コミュニティの強みを継続的に成長させるための第一歩です。
ブリティッシュ・コロンビア州ミューチュアル・ファイア・インシュアランス(MFI:Mutual Fire Insurance of British Columbia)の、ダリン・ロード・ネッセル(Darin Lord Nessel)最高経営責任者（CEO）は次のように述べています。「MFIは、スイス再保険総合研究所と協力して、ICMIFが検証・修正した保険SDG計算機を開発し、MFI初のSDG企業スコアの計算に使用できたことをうれしく思います。私たちにとっての全体的なメリットは計り知れません。深い洞察は、現在の持続可能性への影響を理解し、組織のあらゆる側面にわたってそれを改善するための効果的な目標を設定するのに役立ちます。」
詳細については、ICMIF事務局の Liam Carter(Senior Vice-President, Sustainability)までお問い合わせください。
ICMIFサイトの英語ニュース記事（以下にリンクを表示）を許可を得て翻訳・転載しています。
掲載日付2023.11.2
