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レポート

スイス再保険研究所:「保険業界は厳しい環境下でも回復力を強化している」と指摘

灰色に見える都市風景、ライトが点灯している東京のオフィスビル

スイス再保険研究所(Swiss Re Institute)の新シグマ・レポート「逆風が強まる中、リスクは上昇傾向にある(Risk on the rise as headwinds blow stronger)」によると、世界の保険業界の財務基盤の強化は、マクロ経済的・地政学的リスクの高まりに対して歓迎すべき補強となっています。

同研究所は、金融引き締め政策による逆風が勢いを増し、2023年の成長の勢いが弱まるにつれて、世界経済が減速すると予測しています。中東での戦争勃発は見通しへのリスクを高めており、(地政学的な)政治が経済環境においてより支配的な役割を果たすようになる、と考えています。

世界の保険市場にとって、このような地政学的・マクロ経済的な不安定さが成長見通しを鈍化させています。生命保険と損害保険の両方で収益性は改善していますが、損害保険は厳しい保険金請求の動きに直面しており、スイス再保険研究所は、厳しい市場状況が少なくとも2024年は続く可能性が高いことと、収益性の格差が続くことを予測しています。

スイス再保険のグループチーフエコノミスト、ジェローム・ジャン・ヘゲリ(Jérôme Jean Haegeli)氏は、「経済の追い風が弱まり、地政学的な不確実性が高まる中、元受保険業界はリスク移転における重要な役割りを強化しています。このセクターは、主にリスク調整後の価格設定の改善と投資収益の向上によって収益性を強化し続ける一方、経済インフレが保険金支払いにマイナスの影響を及ぼし続けるため、ほとんどの市場で資本コストを回収できるのは2024年または2025年になると予想されます。」と述べています。

スイス再保険のヨーロッパ担当チーフエコノミスト、シャーロット・ミュラー(Charlotte Mueller)氏は「金利上昇が実体経済に及ぼす影響はまだ完全には表れていません。企業にとっては、資本コストと労働投入コストの上昇は利益率をますます低下させ、人員削減を引き起こす可能性があります。ドイツのような一部の大規模経済国はすでに収益率が低下傾向にあり、欧州経済は今後2年間で業績が悪化するでしょう。」と述べました。

スイス再保険研究所によるこの最新調査結果は、Sigma 2023年6月号の「逆風が強まる中リスクは上昇傾向にある– 経済および保険市場の見通し 2024/2025(Risk on the rise as headwinds blow stronger – economic and insurance market outlook 2024/25)」をダウンロードすることで入手できます。

 

ICMIFサイトの英語ニュース記事(以下にリンクを表示)を許可を得て翻訳・転載しています。

https://www.icmif.org/news_story/insurance-industry-strengthens-resilience-in-challenging-environment-says-swiss-re-institute/

掲載日付2023.11.24