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キャットボンド「Nakama 2025-1」の発行について~地震リスクを証券化 アジア開発銀行の債券を活用した発行としては世界初~

JA共済連(全国共済農業協同組合連合会、代表理事理事長 村山美彦)は、2025年4月16日(水)に、アジア開発銀行(以下「ADB」)が発行する債券を担保とするキャットボンド「Nakama Re Series 2025-1 Class 1 Principal At-Risk Variable Notes」(以下、Nakama 2025-1 」)の発行のスポンサーとなった。なお、ADBがキャットボンドを担保とする特別債券を発行するのは今回が初めてとなる。

この発行により、JA共済連は、調達した資金を国際復興開発銀行(IBRD)、欧州復興開発銀行(EBRD)、アジア開発銀行などの国際機関が発行する債券をキャットボンドの担保資産に活用した世界初のスポンサーとなった。

(注)キャットボンドとは、発生確率は低いが、発生すると大きな被害をもたらす大規模災害のリスクを証券化した金融商品。発行体は機関投資家にキャットボンド債を販売することで、将来の大規模災害に備えた資金を調達することができる。

 

<Nakama 2025-1の概要>

本キャットボンド(5年満期、額面1億米ドル)は、シンガポールの特別目的再保険会社であるNakama Re Pte. Ltd.が発行し、機関投資家向けに販売される。この発行の目的は、建物更生共済における将来の巨大地震発生に備えた資金を調達することである。機関投資家はクーポンを受け取るが、地震による損害があらかじめ定められた支払共済金額を超えた場合、満期償還予定元本の一部(または全部)が減額される発行条件となっており、JA共済連は機関投資家から調達した投資元本を再保険金として回収し、契約者への支払共済金に充当する。

      • 発行体  :Nakama Re Pte. Ltd.
      • スポンサー:JA共済連
      • 発行金額 :額面1億米ドル
      • 期  間 :2025年4月~2030年4月(5年満期)
      • 対  象 :日本国内の地震
      • 利回り  :2.10%

 

<ADBを活用する背景と今回発行するキャットボンドの特徴>

JA共済連は、農業と地域社会の持続的発展に貢献するとともに、地域社会の一員としての社会的役割を果たすことを「サステナビリティ方針」として掲げている。この方針に基づき、JA共済連はESG投資やスチュワードシップ活動を通じて、投資収益を得ながら気候変動などの社会的課題の解決に貢献する責任投資を推進している。

近年、キャットボンドに投資する機関投資家の多くが、SDGsやスポンサーの責任投資への取り組みに関心を高めている。JA共済連はこれまでの発行において、上記のような取り組みを投資家に開示し、調達資金をIBRDやEBRDが発行する債券に投資してきた。

今回発行するキャットボンドは、調達資金をADBが発行する債券にて運用する点が、世界初の取り組みである。ADBは、「極度の貧困を撲滅する努力を続けながら、豊かで包摂的、強靭で持続可能なアジア太平洋地域を実現する」ために尽力している。ADB債券への投資は、同地域に属する日本と連携して経済発展を遂げてきたアジア・太平洋地域に焦点を当てるという点で、SDGsやESGsの取り組みに貢献することになる。

 

<参考>これまでのキャットボンド発行にかかる取組内容

Nakama Re 2023-1       (令和5年4月) 機関投資家から調達した元本は、世界中のグリーンプロジェクトの支援を行っているEBRDが発行する債券に投資された。キャットボンド有効期間中に、JA共済連が実施したESGテーマ型投資に関する情報を機関投資家に対し適宜情報開示を行った。 JA共済連が実施しているSDGs及びESG投資への取り組みに関して機関投資家に向けた情報開示を行った。
Nakama Re 2024-1           (令和6年4月) 機関投資家から調達した元本は、IBRDが発行する債券に投資された。IBRDは、開発途上国における貧困撲滅と持続可能な経済成長を目指すプロジェクトを支援している。

 

JA共済連では、今後も健全な経営の維持に取り組むことで、組合員・利用者の皆さまの信頼と期待に応え、「安心」と「満足」を提供しています。

 

ICMIFサイトの英語ニュース記事(以下にリンクを表示)を許可を得て翻訳・転載しています。

https://www.icmif.org/news_story/world-first-earthquake-cat-bond-sponsored-by-zenkyoren-officially-issued/

掲載日:6月5日