ICMIFのメンバーであるBCCM(オーストラリア)は、同国の協同組合・相互扶助組織の年間収益が8.4%増加したことを受け、英国政府が掲げる協同組合および相互扶助セクターの経済規模を2倍にするという計画にならい、同様の成長を目指すと発表した。
これは、BCCMが今月初めに発表した最新の「ナショナル・ミューチュアル・エコノミー(NEM)レポート」に基づいている。このレポートでは、世界的な経済不安やインフレの中でも、協同組合・相互扶助セクターが高い回復力を発揮していることが明らかとなった。
オーストラリアの上位100協同組合・相互扶助組織の収益は、2024年6月30日までの1年間で前年の440億豪ドルから477億豪ドルに増加した。このセクター全体の収益は2021年度と比べて38.6%増加している。これは、同セクターがコロナ後も堅調な実績を続けていることと、今後のさらなる拡大に向けた強固な基盤を築いていることを示している。
BCCMのCEO、メリーナ・モリソン氏は次のように述べている。
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- 協同組合・相互扶助組織は困難な状況下でも、その回復力を引き続き示しており、この世間から過小評価されがちなビジネスモデルの強さを裏付けている。
- 適切な政策と支援があれば、より競争力のある経済への貢献が可能である。
- すでに、手頃な価格の住宅、高齢者介護や障害者支援サービス、地域金融機関、農業といった分野で成果を上げている。
- 英国のように協同組合・相互扶助セクターを経済・社会政策の中心に据えるために、政府や規制当局と連携していくことを楽しみにしている。
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BCCMの調査によると、協同組合・相互扶助組織は経済的な逆風の中でも非常に高い回復力を示しており、利益を地域に再投資しながら、サービスの提供を維持している。BCCMは、オーストラリア政府に対してこのビジネスモデルを活用するよう提言しており、特に中小企業の経済成長を促す手段として有効だとしている。製造業や再生可能エネルギーなど、成長が期待される分野では、協同組合が中小企業の規模拡大を支える仕組みとして活用できる可能性がある。
オーストラリアの協同組合・相互扶助組織上位100団体には、西オーストラリアの穀物取扱業者CBH、健康保険会社のHCFとHBF、自動車関連団体のNRMA、RACQ、RAC、そして健康・金融サービスを提供するAustralian Unityなど、国内最大級の非上場組織が多数含まれているが、オーストラリア最大の協同組合の地位は、今年も売上高46.9億豪ドルのCBHが獲得した。NMEレポートによると、上位100団体の資産総額は2,170億豪ドルで前年から4.8%増加、税引後利益は18.7億豪ドルとなった。BCCMのデータによれば、オーストラリア人の10人中8人が、少なくとも1つ以上の協同組合または相互扶助組織の会員になっている。
HCFのCEOを退任予定のシーナ・ジャック氏は以下のように述べている。
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- 相互扶助モデルの強みは利益よりも人を優先することにある。
- 会員は単なる顧客ではなく、私たちが存在する理由そのものであり、すべての意思決定は会員を中心に考えている。
- HCFの相互扶助に参加することにより、会員は、保険料の引き下げ、より充実した給付、質の高い顧客サービス、健康を支えるプログラムへのアクセスなどの私たちが生み出す価値を直接受け取ることができる。
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NMEレポートによると、2024年度時点のオーストラリアの協同組合・相互扶助組織の合計有効会員数は3,730万人で、前年の3,470万人から増加した。総団体数は1,834組合で、少なくとも94,400人以上のオーストラリア人を直接雇用している。これらの数値は、競争の激しい銀行業界における規模拡大と効率性の追求の観点から銀行間の合併の動きが活発化するなか、わずかではあるが前年比で増加したことを示している。
<オーストラリアの協同組合・相互扶助組織 売上高トップ10> (単位:10億豪ドル)
組織名 | 州 | 業種 | 売上高 | |
1位 | CBH | WA | 農業ビジネス | 46.9 |
2位 | HCF | NSW | 健康保険 | 41.8 |
3位 | Capricorn Society | WA | 購買サービス | 37.3 |
4位 | HBF | WA | 健康保険 | 23.4 |
5位 | RACQ | QLD | モビリティサービス | 23.3 |
6位 | Australian Unity | VIC | 金融サービス | 21.7 |
7位 | RAC WA | WA | モビリティサービス | 15.9 |
8位 | People First Bank SA | QLD | 金融サービス | 13.2 |
9位 | Newcastle Greater Group | NSW | 金融サービス | 11.0 |
10位 | Teachers Health | NSW | 健康保険 | 10.1 |
BCCMについて
BCCMは、オーストラリアの協同組合と相互扶助組織の全国機関であり、銀行、保険、年金、小売、農業、医療、福祉、住宅など、経済全体にわたって会員に不可欠なサービスを手頃な価格で提供している。オーストラリア人の10人中、8人にサービスを提供する協同組合と相互扶助組織は、民間セクターの会員が所有する組織であり、顧客、取引先、従業員、地域住民などの利害関係者を会員として構成され、会員の利益のために設立・運営されている。
ICMIFサイトの英語ニュース記事(以下にリンクを表示)を許可を得て翻訳・転載しています。
掲載日:6月24日