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レポート

【レポート】 デジタル革新が変える共済団体の未来 - 高千穂大学商学部教授 恩藏 三穂

hyoshi_201906当レポートは、日本共済協会様(AOA会員)が発行する月刊誌「共済と保険」2019年6 月号に掲載された、高千穂大学商学部教授 恩藏三穂様による巻頭言を、恩藏様ならびに日本共済協会様の許可をいただき転載するものです。

 

 

 

 

デジタル革新が変える共済団体の未来

 

Miho_Onzo高千穂大学商学部 教授
恩藏 三穂 
(おんぞう みほ)

2018年12月、香港で開催されたAOA(Asia & Oceania Association of the ICMIF:国際協同組合保険連合アジア・オセアニア協会)セミナ ーに参加しました。テーマは、「デジタル革新と協同組合/相互扶助の保険組織の戦略」でした。

 ご存知の方も多いかもしれませんが、AOAは世界の協同組合/相互扶助の保険組織を代表する唯一の国際的連合体、ICMIF(International Cooperative and Mutual Insurance Federation:国際協同組合保険連合)の地域協会の一つで、アジア・オセアニア地域におけるICMIFの会員団体同士の友好促進と情報交換を目的とし、1984年に設立されました。2018年10月の時点で、13カ国・46団体が加盟しています。

AOAセミナーは隔年で開催されており、今回のセミナーでは、AIやIoT、ブロックチェーンなどデジタル・テクノロジーの進化が、共済・保険事業の各分野へ大きく影響している状況を受けて、その状況報告と意見交換が行われました。背景として、当該地域においても、協同組合/相互扶助の保険組織は、これらの進化にどのように対応すべきなのかという問題意識が広く共有されていることにあります。デジタル・テクノロジーをいかに事業に取り込み、組合員・契約者のために活用していくべきか、その際、どのような点に注意すべきなのかが大きな課題となっていました。11カ国・28団体から83名が参加したことを見れば、いかに本テーマについて各国の団体が興味を示しているかがわかるでしょう。日本からは、JA共済連とコープ共済連の報告がなされました。

* * *

 初めてAOAセミナーに参加し感じたことは、アジアは今や世界の保険市場における最大のエンジンであるという点です。インシュアテックへの投資量が急速に拡大しており、デジタル・テクノロジーを生かした取り組みに関する報告の中には、興味深い事例が幾つもありました。

保険弱者である貧困層に対してマイクロインシュアランスを提供する報告はよく聞きますが、インドネシアでは2018年の大津波によって被災した企業家に対し、プラットフォームを短期間で構築し、モバイルローンの提供を可能にしていました。企業家は地域コミュニティの核ですから、彼らを通じてコミュニティは迅速に回復し、その後も持続的に発展できる仕組みとなっています。このように、モバイルローンを実現するブロックチェーンは、保険弱者にとって有効なツールであることを証明しています。

保険弱者への対策に関して香港では、糖尿病患者など、現在、保険に加入できない層を対象に必要な保障を提供することが模索されています。妊婦に対しては、ゲノムを使用しDNAテストを無料で提供するサービスが実施されています。このサービスは、保険会社が、今の時点で保険販売を目的とするというよりは、5年10年先の健康を考え、予防の一環として行っているといいます。このように中長期で組合員・契約者のためを考えられるのは、協同組合/相互扶助の保険組織の一つの特徴かもしれません。

インドではデジタル革新により自宅で仕事ができるようになり、オフィスに行く必要がなくなりましたが、家長が自宅にいて職場に行かない状況が家族の不安を募り、結局、家長たちは他の場所に集まって仕事をするようになったというエピソードが紹介されました。文化や風習の違いによって、デジタル革新による仕事の効率性を上げた成功事例が他国では適さない、ニーズにマッチしていないという典型的な例です。AOAセミナーに参加したことにより、海外の事例を通じて、デジタル革新の勢いと各国のお国柄を感じることができました。

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さて、海外に比べると我が国では、特に生保分野においてインシュアテックの黎明期といえます。しかし、今回のセミナーでICMIFの事務局長ターバック氏が発言した「誰も取り残さない」という協同組合/相互扶助の保険組織に根ざした活動は、もちろん日本においても実践されています。例えば、事業計画の中で保険弱者を視野に入れた社会づくりを掲げている共済団体があります。また、組合員の声を取り入れ、喘息の子供でも加入できるような告知の緩やかな商品の開発、地域の暮らしを向上させる活動を支援するための助成事業、さらに組合員向けの学習会など、保険弱者を取り残さないような取り組みがなされています。

かつて、食品配達先でケガをしている子供を配送委託職員が目にし、共済金の請求忘れがないか確認したというエピソードを耳にしたことがあります。日頃から組合員のために活動している自覚や意識、これこそが「共済らしさ」なのではないかと感じています。しかし、昨今の人手不足や配送業者による共済勧誘の禁止などによって、前述のような共済団体職員による組合員への臨機応変な対応は、実際難しい状況になってきています。

AOAセミナーで紹介されたように、日本の共済団体もデジタル・テクノロジーの活用によって業務効率化などを着々と推し進め、それが職員の負担軽減や組合員へのサービスの向上につながっています。他国で取り組まれているデジタル革新による事例も参考にするなどして、さらに新しい形で組合員と良好な関係を構築できる仕組みづくりが行われるでしょう。

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従来から取り組まれている「共済らしさ」について、しっかりと情報発信していくことも大切です。保険と共済の同質化問題や、共済の差別化軸の不明確さに関する問題は、依然として解消されていません。新しいデジタル・テクノロジーを活用して「共済らしさ」を発信することによって、これらの問題を解決し、組合員に「共済らしさ」を理解してもらえるのではないでしょうか。

デジタル革新によってニーズの発掘技術が進化し、組合員・契約者の多様なニーズへの対応が可能となり、真の顧客中心主義へとシフトしつつあります。協同組合/相互扶助の保険組織は、組合員・契約者との関係を長期的に考えられる利点があり、彼らに対して様々なソリューションを提供できる可能性を秘めています。その点でデジタル・テクノロジーは保険弱者に対しても、相互扶助精神のもと「誰も取り残さない」状況を現実のものとできる可能性を高めてくれます。将来を担う若手職員への期待は、ますます大きくなっています。

今回、初めてAOAセミナーに「若手職員育成プログラム」が取り入れられ、4カ国・10団体から合計23名の若手職員が参加し、積極的な交流が行われました。相互扶助精神からなる共済団体の将来は、デジタル・テクノロジーを使いこなすことのできる若手職員にかかっています。

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