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SEWA(インド)-新型コロナウィルスがインドの非公式や出稼ぎの労働者に及ぼす壊滅的打撃の緩和に取り組む

インドのICMIF会員 SEWA自営女性協会)は、新型コロナウイルスのパンデミックが低所得者、特に出稼ぎ労働者に壊滅的な影響を与えていると報告しています。

SEWAのプリンシパルであるMirai Chatterjee氏は次のように述べています。「非公式や出稼ぎの労働者への影響は壊滅的なものとなっています。食料もお金も持たない出稼ぎ労働者は、交通手段がないため、自分の村まで500Km以上をとぼとぼと歩いています。それはインドにおける巨大な人道的危機(パンデミックならびに生計手段の大規模な崩壊と喪失)となっています。私たちは悲しみを覚え、行動に移しました。」

インドの国内総生産(GDP)に大きく貢献しているにもかかわらず、非公式セクターは、特に危機時の支援政策に関しては、しばしば無視されているとSEWAは言います。現在、新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、政府、政策立案者、医療従事者などが「社会的距離の確保」と適切な衛生状態の維持に向けて大きな動きを見せています。つまり、外部との接触を最小化し、頻繁な手指消毒剤の使用、病気になった際のマスク着用などの予防的な個人的衛生措置を取ることなどについてです。

これらのアドバイスは、公式セクターの労働者の大半にとって実行が容易と思われる一方で、非公式セクターの労働者にとっては、生計の性質や社会経済的地位のためにこれらの措置を遵守することは不可能であるため、排除を助長するものとなっていると、SEWAは指摘しています。例えば、インドの特定の州や業態における非公式セクターの労働者について極めて迅速に調査を行った結果、このパンデミックとの闘いに際して直面している特有の課題が明らかになりました。SEWAは非公式セクターの女性と協働する中央労働組合です。SEWAは11州における異なる20の業態で働く会員や労働者にインタビューを行い、新型コロナウィルスの知識、収入や家族への影響が出ているか、きれいな水へのアクセス状況、医療サービスについて質問しました。

SEWAは、会員やより広い範囲の非公式経済の労働者を支援するため、以下のような数々の措置を講じています。

      • 擁護への努力
      • フェイスマスクを製造できるSEWAの製造部門とそれを流通させられる社会的企業との間の連携の確立
      • ある関連協同組合を通じ消毒剤やハンドウォッシュクリーナーを公正価格で製造
      • 動画、音声メッセージ、WhatsAppのメッセージなどを通じた啓蒙キャンペーン
      • 自組織のモバイルバンクへのタイムリーなアクセスの確保
      • ビハール州、デリー州、ウッタラーカンド州、グジャラート州などのインド各州における貯蓄・信用の普及推進
      • 2020年初めにデリーで発生した暴動の犠牲者への救済と支援の継続

SEWAは、インドの複数の州で活動しています。たとえばグジャラート州では、会員である非公式セクターの女性労働者の生活は、仕事と収入および食料に関する不安定さ、社会保障へのアクセスの制限あるいは欠如が特徴であると、SEWAは述べています。インドにおけるパンデミックの現状において、社会的距離への要請がSEWAの会員にとって状況を悪化させる可能性が高いでしょう。したがって、早急な介入の必要性は、会員の収入、社会的保護および健康の安全を確保するために特に重要です。

SEWA連合では次の3つの戦略を採用しています。

      • 健康を守る
      • 生計の回復
      • 社会的保護と食料安全保障の拡大

SEWAの当面の対応には食料の配給が含まれています。政府の発表にもかかわらず、SEWAの経験では、配給カードのない人々や、配給カードが出身州のものでグジャラート州では食料へのアクセスが許可されない可能性のある移民労働者が取り残されることが示唆されます。また、在庫が不足する可能性もあり、世帯の規模の違いにより数量が不十分となる可能性もあります。

  医療キット:

家が小さい会員が多いため社会的距離の確保は困難です。SEWAでは、ウィルスの感染拡大を防ぐため2層構造の洗濯可能な布製マスク5枚を各家庭に配布しています。また、手指消毒剤やニーム石鹸も配布します。

  食料のための現金移転:

新型コロナウィルスの流行とロックダウン措置は、生産および活動の規模に制限を課し、多くの企業の収益に影響を与えています。これはSEWAの会員に直接的な打撃を与えるものです。そのため、避けられない経済的圧力を緩和するために、SEWAは直接的な現金移転を提案しました。長期的対応としては、健康分野を専門とし危機対応が可能な幹部の育成と、協同復興のための生計復旧基金の整備が進められています。

一方ケララ州では、SEWAの支部が現地の病院で食堂を経営し、SEWAの労働者が24時間同病院に宿泊し、医療従事者に食事を提供しています。これは事実上、患者の世話をする人々を支援するためにSEWAの労働者が病院に自主的に隔離されたことを意味します。

SEWAは今年3月、会員および非公式労働者を代弁する擁護活動の一環として、労働・雇用担当の国務大臣および財務大臣に対し陳情を行ない、新型コロナウィルス危機時における非公式セクター労働者の支援を要請しました。インドには、契約労働者、日雇労働者、建設労働者、農業労働者、特に繊維・衣料品製造業の在宅労働者、タバコ巻労働者、さらに露天商・廃棄物リサイクル業者・手押車の人夫・三輪タクシー運転手などの自営業者、そして毎日の労働を通じて最低限の基本的な必要を満たすため日々苦労している多くの人々など、5億人の貧しく脆弱な非公式労働者がいます。新型コロナウィルスは彼らの日々の収入や、ひいては生きていくための収入にまでも手ひどい打撃を与えました。そうした中、SEWAはインド18州の170万人の女性労働者を代表して政府に次のような対策を行なうことを宣言するよう求めました。

      • 非公式経済労働者のすべての家族がこの危機を乗り越え、基本的なニーズを維持できるように所得の支援をする
      • すべての州に対して、建物等建設労働者福祉委員会と他の既存の労働福祉委員会に、危機を乗り越えるため登録労働者全員に月額5,000ルピー(約7千円)の補償パッケージを渡すことを宣言するように指示する通達を発する
      • 危機が続く限り食料配給のための無料の公共配給制度を維持する
      • あらゆる借入金の返済を6か月の分割弁済とする
ICMIFサイトの英語ニュース記事(以下にリンクを表示)を許可を得て翻訳・転載しています。

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