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ICMIFブログ記事から:新型コロナウィルスへの企業対応とより良い復興 – ジェシカ・フライス(Jessica Fries)A4S(英国皇太子の持続可能な会計プロジェクト)会長

英国皇太子の持続可能な会計プロジェクト(Prince’s Accounting for Sustainability Project: A4S)とICMIFのパートナーシップは、共通の価値観と共通の目的に基づいたものであり、A4Sの取り組みが世界規模で広がる中、ICMIFはより多くの会員団体にA4Sの取り組みへの参加を促したいと考えています。持続可能な世界を実現する上で財務コミュニティの役割は重要であり、協同組合/相互扶助の保険組織はこの業務に積極的に関与するのに理想的な組織です。今回、A4Sの会長(Executive Chairman)であるジェシカ・フライス(Jessica Fries)氏(写真)によるこのゲストブログを共有できることをうれしく思います。
The partnership between the Prince’s Accounting for Sustainability Project (A4S) and ICMIF is one founded on shared values and shared purpose and we hope to encourage more of our member organisations to become involved in the work of the A4S as it expands on a global basis. The role for the finance community in achieving a sustainable world is critical and mutuals and cooperatives are ideal candidates to become actively involved in this work. Therefore, we are delighted to share this guest blog by Jessica Fries, Executive Chairman, A4S with you now.

 

新型コロナウィルスとの戦いはまだ終わっていませんが、世界中の政府がロックダウンの制限を緩和するのに慎重な対策を講じているなか、危機への対応を超え、回復および出現するかもしれない経済の形に向けて、思考はますます未来に向けられていきます。重要な問題は、いかにしてより良い復興ができるかです。

パンデミックが発生する前、気候変動は多くの人にとって最優先事項であり、緊急の行動がとられない限り、それは人類の存亡にかかわる脅威を与えると認識されていました。 その脅威は消えていません。国際エネルギー機関(IEA)は、過去数か月間に世界経済の多くがほぼ完全に停止されたことにより、温室効果ガスの排出量は今年8%減少すると予測しています。この削減は、国連環境計画が気温上昇を1.5°C未満に保つために今後10年間毎年削減が必要と想定する削減に匹敵します。この事実は、気候危機に対処するために経済を完全に配線し直す必要性を強調するものです。同時に、パンデミックは、直面する他の多くの社会的および環境的課題にスポットライトを当てており、今後数か月にわたってとられる行動の一環として、対処すべき点があるかもしれません。

A4Sでは、世界中の財務・会計コミュニティと協力して、危機からの教訓、弾力性(レジリエンス)を構築し、環境的および社会的リスクに取り組み、最終的には国連の持続可能な開発目標(SDGs)を達成するために取りうる実践的な行動について明らかにしています。

経済のあらゆるセクターにわたる世界中の最高財務責任者(CFO)、議長、私たちのネットワークの他のメンバーと話すと、多くの共通のテーマが浮上しています。これらのテーマは、私たちがより良い復興をするのに役立つ原則への洞察を提供します。

より良い復興を実行するための新たなテーマ

  重要なことに焦点を当てる

私たちが現在経験しているような危機は、他にはほとんどできない方法で努力を活性化するのに役立ちます。それは課題に立ち向かい、解決策を見つけることに徹底的に焦点を当て障壁を打ち破るように私たちに強います。慎重に分析し軽減策を探すのに通常は長い時間がかかる可能性があるその他のリスクは重大ではなくなり、信じられないほど短時間で十分な解決策を見つけるのです。一例としては、脆弱な顧客への配送を優先することを可能とするために、大手スーパーマーケットと英国政府との間で実施可能となったデータ共有合意があり、以前なら同様の議論に数か月かかったかもしれないところを、1〜2日程度で合意がなされました。多くの個人や組織は、空いたオフィススペースを寄付したり、個人用防護具(PPE)と消毒剤を生産するために工場を転用したり、ボランティア活動をサポートしたりできるかなど、危機への対応に役立つ自らのリソースについて考えることに焦点を移しました。その例は「新型コロナウィルス以前の」生活に存在しますが、非常に周辺的です。

  利害関係者、目的志向の考え方

昨年8月、ビジネス円卓会議(the Business Roundtable)は企業の目的についての声明を発表しました。声明は世界的なステークホルダー重視の考えへの継続的なトレンドを強調しました。パンデミックはこの種のコミットメントを試し、目的主導の持続可能な事業として運営されている組織とそうでない組織を明らかにしました。私たちの「CFOリーダーシップネットワーク」全体を見ると、鼓舞される事例がいくつかありました。そのほとんどは、サプライチェーンと顧客基盤に沿って、組織内の人々およびコミュニティ全体を支援することに直ちに焦点を当てています。私たちはこれらの例を突き合わせ、メンタルヘルスと従業員へのサポートに焦点を当てることから始めて、今後数週間にわたって洞察を共有します。

ステークホルダーに重点を置いた考え方はこれらすべての事例の中心であり、危機により強化されたものです。取締役会と役員たちは、彼らの決定が従業員、コミュニティ、顧客、サプライヤー、そして社会全体にどのように影響するかについて体系的に考えてきました。ステークホルダー中心のアプローチは、正しいことであるだけでなく、将来的に報われ、社会的・人的資本を築き上げる可能性があります。

  協力、イノベーション、信頼

過去数か月の間に起きたイノベーションの多くは、協調的思考とパートナーシップによって推進されてきました。これは、私たちの「A4Sエッセンシャルガイド」シリーズの多くの例を通して過去に見てきたものですが、危機対応を通じて前面に出てきました。テクノロジーによって可能になった新しい働き方は、今後も続く可能性があります。また、数十万人の従業員を擁するグローバルな組織が、ほぼ一晩で新しいアプローチを採用できるようになったことで、可能性が広がっています。気候危機に取り組むには、同様の加速されたイノベーションと迅速な適応が必要です。今後数か月の間に経済を刺激する方法を検討するときに、同様の原則を適用することが不可欠です。

協力関係は信頼にかかっています。誠実さと目的を持って行動する企業の例にもかかわらず、企業と企業指導者への全体的な信頼は減少しています。5月発表のエデルマン・トラストバロメーター(Edelman Trust Barometer)は、CEOに対する信頼が50%から29%に低下したことを示しています。利益より人を優先する点で、あるいは従業員の経済的幸福を守り、その仕事を守るという点で、企業が良くやっているあるいは非常に良くやっていると考えているのはわずか38%です。これは、企業が従業員と地域のコミュニティを守るために行動することを78%が期待しているのと対照的です。

パンデミックは、社会のさまざまな部分にわたる不平等のレベルと、新型コロナウィルスが最も貧しい人々に与えている不均衡な影響を際立たせており、エデルマンはシステムの中の不公平感の高まりも強調しています。これは、気候危機と生物多様性の急速な喪失との強い類似点を提供し、人間の影響も最も貧しい人々に最大です。このことは、気候危機と生物多様性の急速な喪失との間の強い類似点を提供し、それが人間に与える影響も最貧層において最大となっています。

  世界経済の相互関連性

危機は、社会的、経済的、環境的側面、さらにはグローバルなサプライチェーンに沿った、世界経済の相互関連性を浮き彫りにしています。私たちが共に働いてきた多くの組織は、グローバルなバリューチェーンをマッピングして、社会問題や環境問題に関連するリスクと機会を特定し、自然、社会、人的資本の影響と依存関係を評価できるようにしています。これらの洞察により自然災害や人的災害に直面し弾力性が向上した事例を見てきました。パンデミックは、多くの人が最終的なサプライヤーが誰で、どこに拠点を置いているかに関する情報の欠如を含む、グローバルサプライチェーンの脆弱性を強調しています。これは、たとえコストがかかっても、これらのサプライチェーンを将来的に簡略化し短縮する必要の有無について多くの人が問題意識を持つ理由となっています。これらの質問を考える際には、パンデミックへの対応だけでなく、より優れた環境の弾力性を組み込むことを検討し、社会的および人間的なプラスの影響を最大化することで、弾力性を高める機会があります。

  強力な持続可能性の信認を得ている企業の善戦

本当に確かなことを言うには時期尚早ですが、社会的および環境的なリスクと機会をビジネスモデル、ガバナンス、戦略、意思決定に組み込むための措置を講じていた組織は(私たちが持続可能なビジネスと考えるものです)、この危機において同業他社よりもはるかに善戦しています。投資家は気づいています。セクター内およびセクター間、そして株式および債券の両方でのパフォーマンスに注目したフィデリティによるリサーチはこの見方を裏付けています。フィデリティは、ESG(環境・社会・ガバナンス)基準において優れた企業は、危機の間もより良いパフォーマンスだったと結論付けています。フィデリティの見解は、景気後退においてより弾力性のあった企業は、経済活動が再開したときに機会を捉えるのにより適切な位置にいるということです。経済、環境、社会の相互関連性を認識することにより、持続可能な事業計画を立てることが経済的弾力性を強化する理由が明確になります。

  自然とのつながりの回復

新型コロナウィルスは、人そのものと人々の世界への対応に大きな影響を与えています。かつて「ESG」と呼ばれる箱の中にあったものは、突然に現実世界での体験となっており、相互に関連しているというこの浸透する感覚が現在の危機を超えて持続することを願っています。個人的な見地から言えば、春の初めにこの危機が英国を襲ったことをいつまでも感謝します。ロンドンは緑豊かで、青い空の下で花が咲き始め、鳥が歌うのを聞いたり、私が住んでいる地域のコミュニティと(ソーシャルディスタンスを確保して)つながったりするのは、自分をポジティブに保つのを助けてくれました。多くの企業および財務のリーダーと話すと、彼らも同様に自然へのつながりの深化を感じており、それは今後も残る可能性があります。何よりも、新型コロナウィルスは私たちの肺を攻撃したことから、私たちが呼吸している空気を、そして通常私たちの都市を曇らせる汚染がない場合に、空気がどれほどきれいであるかを私たち全員により意識させてくれました。

  次は何か:より良い復興が可能か?

私たちは、世界中の組織が過去数か月にわたってどのように対応してきたかの事例を集め始めました。財務および会計コミュニティに焦点を当てることにより、私たちの集団的な対応を知らせ、私たちが後退せずに前進するのを助け、短・中期および長期的により良く復興することができる可能性のある、危機前と危機の最中に取るべき行動を模索しています。

私たちのリサーチが扱う主な疑問は次のとおりです。

      • 世界的な大流行の前に各組織が取ったアプローチは、危機へのより効果的な対応を可能にしたか?
      • 危機が引き起こした新しい働き方や加速するイノベーションのペースを活用して、最も緊急性の高い気候変動を含むその他の課題に取り組むことができるか?
      • より良い復興のために私たちはどのような行動をとる必要があるか、そして財務が果たすべき役割は何か?

新型コロナウィルスがもたらした激変に引き続き対応していく中で、私が話をしたほとんどの財務リーダーは、これが私たちの人生において決定的な瞬間であることを強調しました。歴史が私たちの裁判官になるでしょう。

ICMIFとA4Sとのパートナーシップについて詳しく知りたい方は、ここをクリックするか、ICMIFのショーンターバック(Shaun Tarbuck)事務局長にお問い合わせください。

 

ICMIFサイトの英語blog記事(以下にリンクを表示)を許可を得て翻訳・転載しています。

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