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レポート

新型コロナウィルスは「資本イベントではなかった」:ウィリス リーによると2020年上半期の世界の再保険資本は3%の控えめな減少

ICMIF協賛会員であるウィリス リーWillis Re)の最新の再保険市場レポートによると、2020年6月30日時点で世界の再保険業界に投じられている資本の総額は5,780億米ドル(61兆2,680億円)で、2019年末から3%減少しました。

レポートによると、この上半期の数字は、投資市場への新型コロナウィルスの影響を受けた3月下旬までの約30%の減少を覆い隠しています。その落ち込みはその後数か月で大部分が回復しました。資本の総額は依然として2018年末を12%上回っており、現在の投資市場の水準に基づくと、新型コロナウィルスは再保険業界にとって資本イベントではなかったことを示しています。

ウィリス リーは、再保険会社18社からなるサブセット * についてより詳細な分析を実施しました。当サブセットのコンバインドレシオは、2019年上半期の94.9%から104.1%に悪化しました。これは、新型コロナウィルスの損失により、コンバインドレシオが平均して11.1%上昇したことによります。ただし、新型コロナウィルスとカタストロフの損失を正規化し、前年の準備金の積み増しを除外した基礎ベースによれば、コンバインドレシオは100.5%から98.6%に向上しました。

レポートは、根本的な保険引受実績は改善したと述べていますが、自己資本利益率(ROE)を高めるほどの改善ではありませんでした。当サブセット企業の報告されたROEはマイナス0.7%に低下しましたが、基礎的なROEも、2019年上半期の(すでに低い)4.2%から2.7%に低下しました。その原因は投資利回りの低下であり、これは基礎的なコンバインドレシオの改善を打ち消して余りありました。どちらの方法でROEを測定しても、業界の資本コストである約7〜8%をはるかに下回っています。

ウィリス リーのグローバル CEO であるジェームズ・ケント(James Kent)氏(写真)は次のように述べています。「この半年間についての分析は、再保険市場が当然のことながら変化の状態にあることを示しています。これまで再保険会社は、新型コロナウィルスの損失と投資市場のボラティリティの複合的な影響を弾力的にこなしてきましたが、根本的な収益性は依然として厳しいままです。したがって、特に新型コロナウィルスがロングテールの保険種目に及ぼす潜在的な影響について不確実性が残っており、再保険会社は引受収益をさらに改善するよう求められています。再保険市場のさらなる規律強化と、過去の実績と潜在的なリスクに基づいた地域および顧客の差別化の継続が見込まれます。」

レポート全体のダウンロード:ウィリス リー 再保険市場レポート」は、再保険市場の規模と業績の詳細な分析を提供する年2回発行の出版物です。分析は「ウィリス再保険インデックス」グループの企業に基づいています。2020年現在、このインデックスには世界中の39社が含まれています。

* サブセットは、大災害による損失と前年度の引当金の取り崩しに関して、適切な開示を行なっている企業と定義されています。サブセットの会社はレポートの付録に示されています。

※ 文中の金額は1米ドル=106円で換算

 

ICMIFサイトの英語ニュース記事(以下にリンクを表示)を許可を得て翻訳・転載しています。

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