AOA

ICMIFサイトへ

レポート

全米相互保険会社協会(NAMIC)の最新の市場分析によると米国の相互保険業界は強含みの状況

ICMIF会員である全米相互保険会社協会National Association of Mutual Insurance Companies: NAMIC)と、リスク、退職、健康などに幅広いソリューションを提供するグローバルな専門サービス会社であるエーオンAon)が9月に発表した、第3回の年次市場パフォーマンス分析によると、米国の相互保険業界は2020年前半の混乱にもかかわらず引き続き財務的に好調であり、将来に向けて適切な位置にいます。

最新のレポート「ミューチュアル・ファクター2020:パフォーマンス・構造・焦点がいかに相互保険会社を際立たせるか」では、2019年の米国の相互保険会社について約30のパフォーマンス指標を評価して他の保険会社カテゴリーと比較し、また、格付機関の基準が相互保険会社に与える影響を評価しました。新型コロナウィルスのパンデミックの結果として米国の保険業界が直面している前例のない状況を認識して、新たなミューチュアル・ファクター報告書では、2020年の最初の2四半期のパフォーマンス指標も分析し、ソートリーダーが相互扶助セクターをどのように認識しているかを調べました。

NAMICの総務担当上級副社長、ニール・オールドレッジ(Neil Alldredge)氏は、今年のデータを含めれば過去の報告から逸脱するものの、米国の相互保険セグメントの根底にある相互扶助の構造と焦点の価値を理解するためには不可欠であると指摘しています。

「2019年のデータは前年との比較を維持するために重要ですが、コロナウィルスが業界に与える影響を考慮しなければ、全体像が完璧ではないことがわかりました」と、オールドレッジ氏は語りました。「私たちが発見したことは、新しいリモートの労働環境、規制・立法の取り組み、市場の変化といった多くの課題にもかかわらず、相互扶助セクターはよく持ちこたえているということです。何十年あるいは何世紀にもわたり相互扶助を導いてきた財務力、保険契約者との連携、地域社会への支援に対する同様の注力は、直近の危機を通して彼らを助け続けてきました。」

この調査には、ICMIF協賛会員 AM Best の信用格付手法の枠組みに基づく保険会社600社以上の業績の総合的な分析が含まれています。

エーオンのシニア・マネジングダイレクターでMutual Practice Group のリーダーを務めるクリス・デルヘイ(Chris Delhey)氏は、「エーオンは、この重要なレポートの作成についてNAMICと再び協力できることを非常に嬉しく思います。今年は不透明な年ですが、相互保険業界は堅固で強靭なポジションにあり、これにより相互保険会社は、保険契約者が高く評価するようになった独自の支援を提供可能となりました。おそらくもっと印象的なことは、相互保険市場がさらに強固な立場でこれらの課題から出現したということです」と語りました。

2020年版ミューチュアル・ファクター・レポートにおける主な調査結果は次のとおりです。

      • コロナ禍の間に保険契約者が直面した諸課題を受けて同レポートでは、保険業界は2020年第2四半期に90億米ドル(9,540億円)に近い保険料を還元し、うち相互保険会社は主に保険契約者への配当を通じて45億米ドル(4,770億円)を、株式会社は主に保険料払い戻しにより43億米ドル(4,558億円)を還元したと推定しています。
      • 2020年第2四半期における相互保険会社の契約者配当率は、2020年第1四半期の1.1%に対して5.8%となった一方、株式会社形態の保険会社の契約者配当率は両四半期とも1.0%を下回る水準で推移しています。
      • 相互保険会社は、契約者配当率が上昇した結果、保険引受損失を計上しました。2020年第2四半期の相互保険会社のコンバインド・レシオは102.7%であったのに対し、保険引受利益で運営され、収益に重点を置いている株式会社のコンバインド・レシオは98.8%でした。
      • 資本と剰余金の増加ペースは、2019年の保険料成長率の4倍近くに達したため、レバレッジは業界全体で低下し、受入れ保険料1米ドル当たりの資本額が増加しました。相互保険会社のレバレッジは、2019年には株式会社形態の保険会社よりもやや高く、株式会社形態の保険会社の1.35米ドルと比較して、正味引受保険料1米ドル当たり1.33米ドルの契約者剰余金となっています。
      • AM Bestによる相互保険会社の自己資本比率の中央値はVaR 99.6で59%であり、株式会社の49%を10ポイント上回っています。また、相互保険会社の90%が「最も強い」または「非常に強い」のバランスシート強度格付を付与されているのに対し、株式会社形態の保険会社では79%です。

ミューチュアル・ファクター・レポートはまた、業界が現在直面している課題と将来直面する課題についての見通しを得るために、規模や事業種目の違いを反映した全国の相互保険会社の幹部22名を対象に調査を行いました。具体的な特長は次のとおりです。

      • 職場に関しては、ほとんどの経営幹部は、パンデミックのためにオフィスがフル稼働することを期待しておらず、リモートワークへの移行が円滑に進んだと感じています。
      • 多くの経営幹部は、このパンデミックが触媒の役割を果たし、技術革新のペースを加速させたとの見方で一致しました。その結果、経営幹部の多くは、デジタル化と高度なテクノロジーにより中小企業の統合につながる可能性があると予測しています。
      • 経営幹部は、相互保険会社であることのメリットと、地域社会に影響を与えそして多様化を図る相互保険会社の取り組みを強調しました。

※ 文中の金額は1米ドル=106円で換算

 

ICMIFサイトの英語ニュース記事(以下にリンクを表示)を許可を得て翻訳・転載しています。

ページの先頭に戻る
トップページに戻る