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世界のグリーン金融商品累積発行額が2020年に1兆米ドル(104兆円)に到達

 

気候債券イニシアチブ(Climate Bonds Initiative)のデータによると、グリーンファイナンス市場は、2020年12月初旬に累積発行額が1兆20億米ドル(104兆208億円)に達し、最も重要な節目を越えました。これまでの発行は67の国や国際機関に及んでいます。

エネルギー部門は3,547億ドル(36兆8,888億円)と最大の構成要素であり、低炭素建築が2,635億ドル(27兆4,040億円)がこれに次ぎ、運輸部門が1,907億ドル(19兆8,328億円)で3位でした。水インフラは987億ドル(10兆2,648億円)と4位で、廃棄物管理が369億ドル(3兆8,376億円)でこれに続いています。産業、情報通信技術、土地利用を合わせて408億ドル(4兆2,432億円)、176億ドル(1兆8,304億円)がその他となっています。

ソブリンの発行総額は715億ドル(7兆4,360億円)で、気候債券イニシアチブによると「ソブリングリーンボンド・クラブ」(ソブリングリーンボンドを発行する各国政府のグループ)のメンバー数は現在17か国であり、さらに14か国が新たに加わる可能性があります。

グリーン投資において重要となる初の1兆ドルの達成が気候ファイナンスの画期的な節目になると、気候債券イニシアチブは長年見てきました。

グリーン金融商品の累積発行額1兆ドルを機に振り返ってみましょう。この10年余り、かなりの額の資本がグリーン・気候投資に流れ込みました。累積1兆ドルおよび数年にわたる年間2,000億ドルを上回る新規投資は印象的です。

しかし、気候変動対策の目標は2007年以降大きくシフトしました。次の累積発行額2兆ドルの達成には10年も、あるいは5年さえもかからないかもしれません。移行と2030年の排出削減、そして気候目標の漸増が現在注目されている世界において、年間1兆ドルのグリーン金融商品発行に向け加速していくことが、世界の金融システムが目指すべき大きな投資目標であると、気候債券イニシアチブは述べています。

気候債券イニシアチブでは、グリーンを標ぼうする債務証書をスクリーニングし、厳格な方法論によって債券および類似の債務証書(貸付およびスクーク(イスラム債券)を含む)を特定し、「気候・グリーン債券データベース」に含められるかその適格性を評価します。

  ICMIFと気候債券イニチアチブ

気候債券イニチアチブは投資家に焦点を当てており、グリーンボンドを通じて大規模な投資を促進することを目的とした非営利団体です。その目的は、COP 21パリ協定に沿って低炭素で気候変動に強い経済への世界的な移行を加速し、今世紀の世界の気温上昇を産業革命以前の水準から2℃以内に抑えることです。

気候債券イニチアチブは、グリーンボンドに関する唯一の国際認証制度を運営しています。これにより詳細なグリーンの定義と認証の適格基準が設定され、発行前後の強固な保証の枠組みが提供されます。さまざまなセクター毎に、資産が満たすべき認証要件と、気候変動ソリューションの提供に当該資金が使われていることを投資家に確信させるためのスクリーニングツールとなる基準があります。

ICMIFからはショーン・ターバック(ShaunTarbuck)事務局長および補佐役のスティーブ・レスター(Steve Leicester)最高財務責任者が気候債券基準委員会に参加しています。当委員会は気候債券基準および認証スキームの開発を統括します。委員会の会合は毎月開催され、運用資産を合計すると51兆ドル(5,304兆円)にのぼる独立メンバー団体で構成されています。当委員会は以下を承認する責任があります。

1. 追加的なセクター基準の採用などを含む気候債券基準の見直し
2. 承認された検証者
3. 気候債券基準に基づく債券の認証申請

グリーンファイナンス・セクターには、気候に関連したプロジェクトや資産の資金調達と借り換えのためにメインストリームの債券市場を活性化することは、国際的な気候目標を達成するために重要であるという広範な合意があります。

スティーブ・レスター氏は次のように述べています。「世界のインフラ投資の合計は、現在から2030年までに90兆ドル(9,360兆円)に達すると推定されており、気候債券イニチアチブとグリーンファイナンスのすべての関係者は、この投資が低炭素で気候変動に強いものである必要性について同意しています。そこでグリーンボンドの出番となります。グリーンボンドは、発行代金が主に気候変動の緩和と適応などの環境上のメリットを伴うプロジェクトに割り当てられるという1つの際立った特徴を備えた債券です。グリーンボンドは安定的リターンと長期の投資期間を提供し、公共部門ならびに民間の両方の投資家のニーズ、特に長期的なインフラ投資に適しています」と、スティーブ・レスター氏は結論付けました。

2020年にICMIFは「持続可能な投資リーダー」ウェビナーシリーズを主催しました。その1つである「グリーンボンドおよびそれに投資すべき理由」では、気候債券イニシアチブの副最高経営責任者兼市場開発ダイレクターであるジャスティン・リー・ベル(Justine Leigh-Bell)氏が参加し、グリーンボンドとは何か、明日のためにより回復力があり持続可能で環境に優しい地域社会を構築するための資金調達メカニズムをいかにして提供するかを説明しました。ウェビナーには、世界有数のグリーンボンド投資家の1つであるスウェーデンのフォルクサム(Folksam)の社長兼最高経営責任者、ユルヴァ・ウェッセン(Ylva Wessén)氏も参加しました。

ICMIF会員のフォルクサムは、世界有数のグリーンボンド投資家であり、企業が2050年までに投資ポートフォリオを温室効果ガス排出量ネットゼロに移行させることを約束する、国連が支援する「ネットゼロ資産保有者アライアンス(Net-Zero Asset Owner Alliance)」の主要な提唱者でもあります。

「ICMIF持続可能な投資2020」調査によると、15のICMIF会員団体がグリーンボンドとソーシャルボンド(社会貢献債券)に合計56億ドル(5,824億円)を投資しています。スウェーデンのフォルクサムFolksam)およびレンスフォーシェクリンガーLänsförsäkringar)、カナダのコーポレーターズThe Co-operators)は先行しており、これらの債券に3団体合わせて40億ドル(4,160億円)を投資しました。

2020年の年間発行額は12月13日時点で2,200億ドル(22兆8,800億円)超と過去2番目の発行額となりますが、パンデミックの影響により2019年の過去最高記録(当初値の2,550億ドルから修正され2,661億ドル(27兆6,744億円))には及びませんでした。

※ 文中の金額は1米ドル=104円で換算

 

ICMIFサイトの英語ニュース記事(以下にリンクを表示)を許可を得て翻訳・転載しています。

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