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フィリピン:マイクロ保険による強力な社会的保護でニューノーマルに立ち向かう

 

ICMIF会員であるフィリピン・マイクロ保険MBA協会The Microinsurance MBA Association of the PhilippinesMiMAP)、RIMANSIとしても知られる)によると、コロナ禍がもたらした困難な時代の中で、マイクロ保険は低所得で一般の保険サービスへのアクセスが制限されているフィリピン人にとって重要なライフラインになりました。

フィリピンのマイクロ保険は長い道のりを歩んできており、MiMAPによれば加入する低所得層のフィリピン人の数は、2007年の300万人未満から、2019年には4,000万人に急増しました。過去10年間の平均年間増加率は123%です。金融包摂におけるこの増加の多くが、全国に広がるマイクロ保険共済組合Microinsurance Mutual Benefit Associations: Mi-MBA)の努力に起因すると考えられます。フィリピン保険委員会(Philippines Insurance Commission)によると、Mi-MBAは2019年の第3四半期まででマイクロ保険の保障総額の62%を占めています。

しかし、低所得層のフィリピン人は数百万人がまだ無保険で、経済的将来の不確実さに対して依然として脆弱なままです。2018年のマイクロ保険の展望調査は、2020年にはまだMi-MBAが対象とすべき7,300万人の潜在的な市場が存在すると推定されています。ICMIF会員のMiMAPは、18のMi-MBA会員組織とともに、数百万人の無保険のフィリピン人に手を差し伸べることに挑戦してきており、2024年までに貧しい低所得層のフィリピン人4,800万人をターゲットに金融包摂を拡大するという目標に取り組んでいます。

経済発展を促進し低所得の地域社会に暮らす人びとの生活改善のために活動するシティ財団(Citi Foundation)はこの努力を支援しており、Mi-MBA会員組織の能力強化を目的とした助成プログラムでMiMAP(RIMANSI)と提携しています。その2つの主要な成長ドライバーは次の通りです。1)データ管理におけるモバイル(電話)テクノロジーなどの会員組織の経営情報システムの強化を通じた幅広いテクノロジーの採用、2)包括的なマイクロ保険リテラシー・プログラムによるマイクロ保険の認識と評価の向上。

  データ管理におけるモバイルテクノロジー

このプログラムの最初の部分は、Mi-MBAが会員を点検できるようにするユーザーフレンドリーなモバイルアプリの開発です。この経営情報システム強化プロジェクトによってMi-MBAは、モバイルアプリの開発を通じて、適切で正確かつタイムリーなデータにアクセスが可能となります。アプリがカバーする必要がある機能の中には、会員加入申請と情報更新、保険金請求・支払い・保険料収納の処理、失効した保険のフォロー、会員エンゲージメントなどが含まれます。

ICMIF会員である CARE MBA のジェネラル・マネージャーであるペラギア・メンドン(Pelagia Mendones)氏は、この新しいテクノロジーの約束に興奮しています。「離島の地域社会など遠隔地の営業地域にあってもタブレットや携帯電話などのモバイルテクノロジーをデータ管理に使用できることを嬉しく思います。私たちのパートナーである協同組合のスタッフは、現場にいる間に電話でその日の取引をデータ変換できます。それらのデータは、仕事が終わりオフィスに到着するとすぐにアップロードできます。間もなく、私たちはクリックするだけで顧客データベースを更新・統合できるようになる予定です。」

  マイクロ保険リテラシーの学習セッション

プログラムの第2のそして重要なフェーズは、既存の会員だけでなく保険未加入の幅広い層の人びとに対して、マイクロ保険についての意識を高め理解を深めるための学習モジュールとツールを開発することです。MiMAP(RIMANSI)では、これらのモジュールやツールをパートナー組織の会員向けに作成し、全国のさまざまな地域社会に手を差し伸べて、特に貧しいフィリピン人のために、マイクロ保険とそのメリットに関する知識を共有することを想定しています。パートナー組織は、意識の向上により会員数のより迅速な増加を図りたいと考えています。

TSPI MBAの理事長であるアリス・コルデロ(Alice Cordero)氏が認めるように、「これは、昨年私たちが採用した、マイクロ保険の普及推進でMBAがより積極的な役割を果たすように指令する戦略に適合しています。2020年以降、私どもの保険担当者は、マイクロ保険について会員を啓蒙・教育する任務を与えられました。会員がマイクロ保険の価値を完全に理解し評価するにつれて、家族全員をマイクロ保険に加入させたいと思うようになると、私たちは確信しています。そのため、2021年末までに40万人の被保険者を新たに追加するという高い目標を設定しました。」

  加入者増加を維持するための戦略的提携

パンデミックにより恐怖と経済的不確実性に覆われた1年間で、MiMAP(RIMANSI)は会員がこの困難な時期を乗り切るためにマイクロ保険が本当に頼りになることを示しました。2020年11月時点で、MiMAP(RIMANSI)の会員組織は、年初からの51,203件の請求に対し11.2億ペソ(24.6億円)を支払いましたが、うち1,000件以上が新型コロナウィルス関連でした。

マイクロ保険を推進する作業は、2021年に向けてより大規模で大胆な計画をもって継続されます。MiMAP(RIMANSI)は、シティ財団の支援を受けて、2021年1月26日と27日に「ニューノーマル下で繁栄する」をテーマにした全国マイクロ保険フォーラムを主催します。

この仮想イベントに参加する著名な講演者とゲストには、フィリピン保険委員会コミッショナーのデニス・フナ(Dennis Funa)氏、フィリピン財務省次官兼チーフエコノミストのギル・ベルトラン(Gil Beltran)氏、保健省次官のマリア・ロザリオ・S・ヴェルゲイレ(Maria Rosario S. Vergeire)氏、シティ・フィリピンCEOのアフターブ・アーメド(Aftab Ahmed)氏、MiMAP(RIMANSI)の名誉会長でありICMIF開発委員会の前議長であったハイメ・アリストトゥル・アリップ博士(Dr Jaime Aristotle Alip)がいます。

パンデミックと自然災害によりもたらされる影響と課題に対処するための政府、民間部門、保険業界、およびマイクロ保険部門の対策と戦略の主要な更新および開発は、仮想イベント中の議論の議題に含まれています。過去数年と同様に、MiMAP(RIMANSI)は、この毎年恒例のネットワーキングイベントが、フィリピン人のためのより大きな金融包摂の目標を達成するために、地元のマイクロ保険業界の多様な利害関係者を関与させ、団結させ、これまで以上に前進させることになると信じています。

その他のICMIF会員組織も、全国マイクロ保険フォーラムの議題に参加します。具体的には、1CISP(フィリピン)社長のロイ・ミクラット(Roy Miclat)氏、The DHAN Foundation(インド)最高経営責任者のアヒラ・デビ・サブラマニアン(Ahila Devi Subramanian)氏、ASKI MBA(フィリピン)最高経営責任者のエメテリア・キハノ(Emeteria Quijano)氏、CARD MBA(フィリピン)最高経営責任者のメイ・ダワト(May Dawat)氏、CARE MBA(フィリピン)ジェネラル・マネージャーのペラギア・メンドン(Pelagia Mendones)氏です。

※ 文中の金額は1ペソ=2.2円で換算

 

ICMIFサイトの英語ニュース記事(以下にリンクを表示)を許可を得て翻訳・転載しています。

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