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レポート

スリランカにおけるマイクロ保険の規制整備が必要-ICMIFと政策研究所(IPS)による報告書

Sri_Lanka_diagnostic_report_PR_image国際協同組合保険連合(ICMIF)スリランカ政策研究所(IPS)はこの度作成した報告書「国別診断報告書:スリランカにおける協同組合/相互扶助のマイクロ保険」の中で、適切な規制整備が必要であることを示しました。

この報告書は、同国における協同組合/相互扶助の保険組織が提供するマイクロ保険の概況に関する初の研究の成果物であり、ICMIFの5-5-5相互扶助のマイクロインシュランス戦略の一環で作成されたものです。2018年12月6~7日にかけて香港で開催されたICMIFアジア・オセアニア協会(AOA)セミナーの場で正式に発表されました。

マイクロ保険は、低所得層が不慮の事態に備えるための手段ですが、スリランカにおけるその普及率は1%未満と特に低い状況です。報告書では、同国では貧困ラインのすぐ上に人口が多く集中しており、社会経済的ショックの影響を受けやすい脆弱層が相当数存在すると指摘されています。

低所得地域を対象とした複数のフォーカスグループ・ディスカッション(FGD)を通じて、スリランカの低所得世帯において保険の需要が低い背景には、掛け金の支払い能力の問題や保険事業者への信頼欠如もあることが分かりました。しかし、最も重要な理由としては、共同体を基盤としたネットワークが高度に発達しているため、リスク管理手段としての保険の必要性が軽減されている点が明らかとなりました。これは、同国における相互扶助のマイクロ保険の潜在性があることを示しています。

スリランカには、「正規登録事業者」と「地域社会組織」の2種類の相互扶助のマイクロ保険事業者が存在します。後者は、農村部を中心とした葬儀費用互助会などで、会員へのサービスとして非正規のマイクロ保険活動を行なっています。正規の保険事業は保険業法第43号で規制されていますが、同法はマイクロ保険と相互マイクロ保険について定義・規定も禁止もしていません。2016年に制定されたマイクロファイナンス法でも、マイクロ保険規制の必要性が指摘されています。

代表執筆者を務めたIPSの主任研究員兼貧困社会福祉政策部長であるガンガ・ティラカラトナ(Ganga Tilakaratna)博士は、同報告書の提言として、次のように述べています。「スリランカにおけるマイクロ保険の普及向上を図るには、規制当局が『マイクロ保険』を公的に定義し、事業者のために規制を整備することが必要です。多くの保険事業者が低所得地域のリスク軽減において重要な役割を果たしてきましたが、保険加入者の利益のための事業活動を阻害することなく、監視の仕組みを導入することが賢明といえます。また低所得層における保険に関する知識や意識を向上させ、保険事業者との信頼関係を構築する必要もあります。」

ICMIFは本報告書の作成にあたり、IPSのほか、地元会員団体のアマナ・タカフル(Amana Takaful Ltd)、協同組合保険(Co-operative Insurance Company Ltd: CICL)、コープライフ保険(Cooplife Insurance Ltd)、サナサ保険(Sanasa Insurance Company Ltd)の協力も得ました。

ICMIFのショーン・ターバック(Shaun Tarbuck)事務局長はAOAセミナーで次のように述べています。「この報告書はICMIFの5-5-5相互扶助のマイクロインシュランス戦略の事業の一環として作成されました。5-5-5戦略は2016年6月に始動し、5年間で新興5カ国(コロンビア、インド、ケニア、フィリピン、スリランカ)で保険未加入の低所得層500万世帯に相互扶助のマイクロ保険を普及させるプロジェクトです。」

さらに同氏はこう述べています。「本研究の成果を、スリランカにおける相互扶助のマイクロ保険の普及拡大のための根拠に基づいた戦略立案に資することにより、低所得層に手の届く価格の保障を提供し、新規保険加入者の増加を目指します。」

5-5-5相互扶助のマイクロインシュランス戦略は貧困地域を対象としたプロジェクトであり、長期的にはこうした地域の人々の強靱化と保険による保障を行うことを最終的な目標としています。同戦略のガバナンスは、2015年よりイングランドとウェールズで慈善団体の登録を受けているICMIF基金が監督しています。また5-5-5戦略は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の5項目をその目標に据えています。

「国別診断報告書:スリランカにおける協同組合/相互扶助のマイクロ保険」のダウンロード先はこちら

 スリランカ政策研究所(IPS)について

IPSは立法により設置された独立経済研究機関で、質が高く、中立的な政策関連の研究を通じて、政策意思決定に必要な根拠をもたらし、スリランカ国民の生活向上に資することを使命としています。

1990年に正式に設置されて以来、中心的な経済政策研究拠点として認知されています。主な研究分野は、現代のスリランカおよびアジア地域全体における社会経済政策問題です。幅広い分野の研究員の経験に裏打ちされた根拠は、経済政策の意思決定に貢献しており、その研究成果は報告書や研究論文、学術論文、公の発表を通じて広く発信されています。

IPSは、スリランカの経済政策の意思決定と実施に関わる主要省庁の下で、政府や民間セクター、開発パートナー、市民社会、学界と緊密に協力しています。

ウェブサイト:http://www.ips.lk/

 

ICMIFサイトの英語ニュース記事(以下にリンクを表示)を許可を得て翻訳・転載しています。
記事日付 2018.12.5