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ICMIF公式サイトがCARD MBA(フィリピン)訪問団をレポート

メンバーニュース:ICMIFアジア&オセアニア協会(AOA)がフィリピンCARD MBAへの訪問団を実施

2016年9月23日金曜日 – 14:07

ICMIFに加盟する13組織の代表者38名はこのほど、ICMIFアジア・オセアニア協会(AOA)が主催する、フィリピンのICMIF会員団体CARD MBAへの訪問団に参加しました。視察は2016年8月2日と3日に行われ、香港、日本、ニュージーランド、タイ、フィリピン、スリランカ、イギリスからの代表者が参加しました。

CARD MBA(農業・農村開発相互保険)は、CARD MRI(農業・農村開発相互補強機構)の保険部門です。CARD MRIは、マイクロファイナンスおよびコミュニティベースの社会開発事業における世界的なリーダーになることを共通の目的に据える複数の団体で形成されるグループであり、社会的・経済的に厳しい立場にあるフィリピンの女性や家庭の生活の質の改善に取り組んでいます。CARD MRIは傘下の14団体を通じて、貧しい女性やその家族が金銭的またはそれ以外のニーズを満たせるよう支援しています。CARDグループは長年に亘り、マイクロ保険とマイクロファイナンスを通じたフィリピンの貧困削減に取り組んでおり、アジア版ノーベル賞として広く知られるラモン・マグサイサイ賞を2008年に受賞しています。

CARD MRIの創設者で会長を務めるハイメ・アリストトゥル・アリップ博士(Dr. Jaime Aristotle Alip)は、「CARD MBAは、2004年にアジア・オセアニア協会に加盟しました。このような取り組みを受け入れることはいつであっても非常に名誉なことです」と述べ、CARD MRIは喜んで代表団にできる限りの手厚いもてなしをしたいと語りました。

マイクロ保険の展望

AOAは、協同組合保険運動を発展させ、メンバー間の結びつきと友情を深めるとともに、この地域のICMIF会員間の交流やベストプラクティス共有の機会を拡大するため、訪問団、会議、セミナーなどを定期的に開催しています。

全共連(日本)の代表理事理事長でAOA会長の勝瑞保氏は、「今年の訪問団では、参加者がさまざまな視点からマイクロ保険について学ぶことができました」と述べ、この研修旅行の最大の成果のひとつは、代表団がマイクロ保険業界の主要プレーヤーと会談し、その見識に触れることができたことだと話しました。

フィリピン保険委員会のマイクロ保険局・局長代理、シェイン・ブロス氏(Shayne Bulos)からは、フィリピンにおけるマイクロ保険に関する政策と規制の紹介がありました。

ブロス氏は代表団に対し、2014年の人的保険および物的保険の契約数が少なくとも3,110万件となり、2010年の310万件、2012年の1,980万件に比較して増加していることを明らかにしました。ブロス氏は、「フィリピンでは、商品やサービス、保険会社の関与といった点でも大幅な増加が見られます」と述べ、フィリピンにおけるマイクロ保険の発展は本当に圧倒的なのものであると述べました。

また、訪問団では、CARD MBAを通じたCARD MRIのマイクロ保険モデルにもスポットライトが当てられました。

CARD MBAは、保険金支払プロセスにおける「1-3-5デイ・ターゲット」のパイオニアです。メイ・ダワト(May Dawat)ジェネラル・マネジャーは、「この目標によって、効率的な支払い請求の確認および保険金の支払いが確実なものとなります」と述べました。また、CARD MBAは自らの技術を、フィリピンで包括的な保険商品を提供する他のマイクロファイナンス団体や協同組合と共有することも目指しています。

ICMIFに加盟するRIMANSIのエグゼクティブ・ディレクター、ジュン・ジェイ・ペレス(Jun Jay Perez)氏からは、アジア・太平洋地域においてマイクロ保険の相互組織的アプローチを推進する方法の紹介がありました。「相互組織モデルは貧困者を支援するもので、組合員自らが組織を所有して管理するものです」とペレス氏は述べました。

ICMIF5-5-5相互組織のマイクロ保険戦略

この訪問団では、参加者がICMIFの「5-5-5相互組織のマイクロ保険戦略」について詳しく知り、ICMIFの新興市場担当上級責任者サビエ・パテル(Sabbir Patel)氏による「5-5-5戦略」の最新情報に関する講演を聞くことができました。また、パテル氏はICMIFの開発紹介ビデオ、「相互組織のマイクロ保険:脆弱なコミュニティにおける回復力の構築」を今回初めて上演し、5-5-5戦略の目的と、脆弱なコミュニティを支援するためにICMIFメンバーがこれまでに実施した取り組みについて紹介しました。

ICMIFは、2015年1月に「5-5-5相互組織のマイクロ保険戦略」を立ち上げ、相互組織のマイクロ保険が多数の新興市場でその可能性を最大限実現できるよう支援し、これによって低所得の何百万もの家庭に好影響を与えることを目指しています。ICMIFは5年間で5つの国に相互組織のマイクロ保険を発展させ、保険に加入していない500万の低所得世帯にサービスを提供する計画です。これは、合計で2,500万人に相当します。

対象の5か国(コロンビア、インド、ケニア、フィリピン、スリランカ)は、すでに相互組織による保険の分野で優れた成果が出ていることや、ICMIFの会員がいること、地理的な広がりを考慮して選定されました。

CARD MRIの手法

今年のホストとしてのその役割を果たすため、CARD MRIは代表団がそのビジネスモデルを直接に体験できるようにしました。代表団は、全国のCARD MRI組合員(保険契約者)のために行われる毎週のセンターミーティングを視察しました。アリップ博士によると、このミーティングはCARD MRIをより強固な組織にするのに役立っています。「設立以来、この毎週のミーティングは、国内に効率良くコミュニティを築くための私たちの戦略となっています」とアリップ博士は語りました。

CARD MRIは、全国に360万人を超える組合員を抱えています。これらの組合員はすべて毎週のミーティングに参加しています。アリップ博士は、「これは単なる普通のミーティングではなく、ユニークで、私たちのお客様にふさわしいセンターミーティングになるよう、私たちはそのフォーマットを作り上げました」と述べました。組合員である保険契約者は、このミーティングを仕切るセンター担当者の役割を果たすこともできます。

教育を伴う融資(CwE)プログラムが、このセンターミーティングの目玉です。アリップ博士は、「このプログラムを通じて、CARD MRIの顧客は健康、ビジネス、CARD MRIの商品やサービス、マイクロ保険、災害対策、融資に関する規律などのテーマについて学びます」と述べ、財政面だけでなく、総合的に顧客を手助けし、アドバイスをしていると語りました。

全共連(日本)の蓮見裕介・経営企画部調査役は、「貧困層に力を与えるCARD MRIのユニークな手法に触れるという経験ができて嬉しく思います。このセンターに来ることで、CARD MRIとその顧客がさまざまな問題について話し合うための最適な場所が用意されます」と述べ、CARD MRIの優れたビジネスモデルを称賛しました。

文化体験

「代表団の皆様にフィリピンのユニークな文化を体験してもらわずに、フィリピンにおけるこの国際的なイベントのホスト役を終わらせることはできません」とはアリップ博士の言葉です。

AOA代表団は、「サン・パブロの子供たち:7つの湖を巡るツアー」と題したツアープログラムに参加しました。このツアーは、2012年にCARD MRIがそのコミュニティ開発グループを通じて作り上げたものです。CARD MRIのマリリン・マニラ(Marilyn Manila)氏は、「このツアーは、CARD MRIの本社があり、CARDの最初の支社が設立された場所であるサン・パブロに敬意を表したものです」と述べ、このツアーはCARD MRIらしい方法でサン・パブロの文化の豊かさを讃えるものだと説明しました。「AOA代表団をツアーにご案内できて光栄です。このツアーは忙しい訪問団の行程の後、息をつくのにぴったりです」とマニラは話しました。代表団は、サン・パブロのサンパロック湖、大聖堂、広場、市庁舎を訪問しました。

この訪問団は、CARD MBAとAOAが、RIMANSIやCARD MRI Development Institute(CMDI)と提携して実施したものです。次回訪問団の場所とホストについては、AOAから年明けにも発表される予定です。

AOA_Study_Visit_2016

写真(前列左から右へ): CARD MBAジェネラル・マネジャー、メイ・ダワト氏、CARD MRI創設者・会長、ハイメ・アリストトゥル・アリップ博士、全共連代表理事理事長・AOA会長、勝瑞保氏。写真提供:CARD MBA。

セミナーに関する情報はCARD MRIのご厚意によりご提供いただきました。

 

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