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【レポート】 AOAセミナー 事務局報告および参加報告

すでに簡単にご報告しておりますように、AOAでは2018年12月6日~7日に香港において二年に一度のAOAセミナーを開催いたしました。

hyoshi_201904当レポートは、日本共済協会様(AOA会員)が発行する月刊誌「共済と保険」2019年4月号に掲載された、AOAセミナーについての記事(事務局報告および参加者による参加報告)を、日本共済協会様の許可をいただき転載するものです。

 

1. 事務局報告 – 2018年AOAセミナー・香港の開催について(AOA事務局)
2. 参加報告 – 2018年AOAセミナー・香港 参加報告(全労済:全国労働者共済生活協同組合連合会)
3. ヤングリーダー・プログラム運営の感想(ジャクリン・バレナ氏、フィリピン1CISP副社長

  • 一般社団法人日本共済協会 月刊誌『共済と保険』(2019年4月号) から転載

<1. 事務局報告>  

2018年AOAセミナー・香港の開催について

AOA事務局次長 高橋 成人

国際協同組合保険連合(ICMIF)アジア・オセアニア協会(AOA)では、2018年12月6日、7日の二日間にわたり、香港において「デジタル革新と協同組合/相互扶助の保険組織の戦略」をテーマに、現地会員であるアジア・アフィニティ・ホールディングスをホストにAOAセミナーを開催し、11カ国・28団体から計83名の参加がありました。国別には、日本・中国・韓国・香港・フィリピン・インドネシア・シンガポールのアジア地域、オーストラリア・ニュージーランドのオセアニア地域、そして英国・フランスと多様な地域からの参加となりました。

セミナーは、デジタル技術の活用に着目した前回の東京セミナーの流れをくみ、私たちのセクターが、デジタル・テクノロジーの進化をいかに事業に取り込み活用していくか、どのような点に注意すべきなのかについて、基調講演等では有識者による世界的潮流の解説、AOA会員団体の先進的取り組み事例の紹介、パネルディスカッションを通じてさまざまな視点からの考察の機会が提供されました。

基調講演や特別講演では、アジア・太平洋地域における開発途上国の経済発展に貢献する国際開発金融機関である「アジア開発銀行」や、グローバルにコンサルティング業務や保険ブローカー業務などを提供する「ウイリス・タワーズワトソン」から有力なインフルエンサー(世間に及ぼす影響力の大きな人物のこと)をお招きして講演をいただきました。

また、会員団体による事例紹介では、「無人電気自動車」・「デジタル・トランスフォーメーション」・「AI利用の業務最適化」・「デジタルマーケティング・プラットフォーム」などの先進的な取り組みが発表されました。

Fumio and Chris

2019 I CM I F総会ホスト団体 FMG(ニュージーランド)クリス・ブラック氏とともに挨拶をする柳井AOA会長(JA共済連理事長

セミナーの冒頭挨拶で、柳井二三夫AOA会長(JA共済連・代表理事理事長)は、「デジタル化は加速を続け、AI(人口知能)や I oT(モノのインターネット)が当たり前となる中、利用者の利便性を第一に考えれば、それらを活用するビジネスモデルが不可欠であり、適切に対応できない企業は衰退していくと言われています」と危機感を示すとともに、「私たちのセクターが持続的に発展して会員・利用者を支え続けるために必要なイノベーションについて、何が最適でいつ実施すべきなのかを見極めていく必要があります」と、テクノロジーの進化にともなうライフスタイルの大きな変化に協同組合/相互扶助の保険組織が対応していく必要性を強調しました。

さらに、「国際協同組合保険連合が素晴らしいのは、会員間のネットワークを活用して知識や経験、情報を互いにシェアし、それぞれの市場で成功しようという精神です」と、セミナーの機会をとらえた参加者の前向きで幅広い交流を促しました。

なお、AOAでは、前回東京セミナーのもう一つの焦点であった「若者層」について相互交流とモチベーション向上を狙いに、初の試みとして若手職員向けの「ヤングリーダー・プログラム」(ネットワーキング、会員団体CEOとのフリーディスカッション)を併せて実施しました。同プログラムには、4カ国・10団体から合計23名の若手職員が参加し、積極的な交流が行われました。

 

                                                 プログラム
<1日目(12月6日)>
開会挨拶
基調講演Ⅰ・Ⅱ&対談

  •  ネットワーク化した世界でリ・インベンションにより保険の新たな価値を創出する
  •  デジタル革新がアジアの保険市場に及ぼす影響と今後の見通し、アジアにおける規制、防災への取り組み状況について
事例報告&パネル
  • 西オーストラリア州における無人電気自動車の試運転
  • NTUC Incomeのデジタル・トランスフォーメーションの旅
  • AI利用の共済金査定業務高度化と業務最適化

 

<2日目(12月7日)>
ヤングリーダー・プログラム
  • 会員団体CEOと若手参加者のフリーディスカッション
基調講演Ⅲ
  •  デジタル・エンゲージメントによる強靭性と持続可能性の構築
特別講演
  • アジアの主要テーマ
事例報告&パネル
  • JA共済連のデジタル戦略
  • デジタル・マーケティング・プラットフォームを通じた統合的ビジネス・マネジメント
  • オンラインでリレーションシップ・モデルを強化する
  • eコール:より安全なモビリティと緊急通報の分野における模範的官民協力について
ヤング報告
  • 若手リーダーの旅-機会を得て潜在力を解き放つ
I CM I F報告
閉会挨拶

<2. 参加報告>  

2018年AOAセミナー・香港 参加報告

全 労 済(全国労働者共済生活協同組合連合会)

本稿は、セミナー本編ならびにヤングリーダー・プログラムに参加した全労済本部ブランド戦略部 一入 恭子 氏、生命共済金部 石綿 良 氏、品質管理部 桐谷 梨恵 氏、経営企画部 佐藤 嘉一 氏の4名による報告です。

1. はじめに

国際協同組合保険連合(ICMIF)アジア・オセアニア協会(以下、AOA)は、ICMIFの地域協会の1つで、域内13カ国の46団体が加盟しています。AOAセミナーは会員組織を対象に2年に1度、開催されており、共済・保険事業や協同組合にかかわる重要課題や世界的な潮流の解説、会員組織の活動報告等を中心に行われます。

本稿では、「デジタル革新と協同組合/相互扶助の保険組織の戦略」をテーマに、11カ国28団体から83名が参加して開催されたAOAセミナー・香港(2018年12月6~7日)の各講演やディスカッションの概要を報告します。

 

会場の様子
会場の様子
2. セミナー1日目

 

(1) 開会挨拶

セミナーの開会にあたり、柳井二三夫AOA会長(JA共済連理事長)からは、「AIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)、インシュアテックが世界的に驚異的なスピードで広まっている。これまで発明された情報伝達技術(ラジオ、テレビ、インターネット、SNS)は時代を追うごとに普及スピードが増しており、いずれの組織においてもこの技術革新の潮流に対応していく必要がある。本セミナーが会員の今後の取り組みの一助になることを望む」と挨拶がありました。

今回のホスト団体である香港のアジア・アフィニティ・ホールディングス最高責任者 グラハム・クラーク氏からは、「昨今の技術革新は、単なる業務の簡素化、低コスト化にとどまらず、人間が行う仕事のあり方をも問い直すものになる。社会変革の中、協同組合/相互扶助の保険組織間のネットワークを構築し、優良事例の共有を通じて、各組織が新しい時代の課題を克服していくことを期待する」とのメッセージがありました。

 

(2) ネットワーク化した世界でリ・インベンションにより保険の新たな価値を創出する
 (基調講演Ⅰ)

ウイリス・タワーズワトソン資本・科学・政策部門最高責任者 ローワン・ダグラス氏による世界情勢と保険事業に関する講演でした。同氏は2018年9月の「G20保険サミット(アルゼンチン)」やIDF(保険開発フォーラム)への参画の経験をもとに、「政治や法律、市場の違いにかかわらず、どの国においても保険の仕組みが有用であることを実感した。2020年のG20における主要トピックの1つが災害対策であり、保障ギャップ解消の担い手として、保険事業への関心が世界的に高まってくる。規制当局とは敵対関係で臨むのではなく、より良い法制度・事業環境を作り上げていくパートナーとなるべきであり、そのためには、引き続き、政策立案者に対してセクターとしての考え方を届けるとともに、学識経験者・研究機関との連携を強めて、不要な規制の撤廃に向けた同調者を増やしていくことが必要である」と述べていました。

 

(3) デジタル革新がアジアの保険市場に及ぼす影響と今後の見通し、アジアにおける規制、防災への取り組み状況について
 (基調講演Ⅱ)

アジア開発銀行 アラップ・チャタジー氏は、「ブロックチェーンに代表される新技術は、保険事業者にとって脅威でもあるがチャンスでもある。先進技術の導入により、世界規模では50億ドル~100億ドル規模のコスト削減が見込めるとともに、テクノロジーに基づいた迅速かつ正確な事業遂行により、保険事業に対する顧客の信頼をさらに向上させていくことも可能である。同時に、人々の働き方に大きな影響を与えるデジタル技術の導入には、各国固有の労働観や労働慣行、風習への配慮も不可欠である。現在の各種規制は新しいテクノロジーを考慮せずに策定されているため、規制当局者と相対する際は、新しい保険の考え方やあり方を共有・啓発していくことが重要である」と講演しました。

 

(4) 西オーストラリア州における無人電気自動車の試運転
 (事例報告1)

RAC(オーストラリア)エグゼクティブ・ゼネラルマネージャー パトリック・ウォーカー氏は、「安全な無人電気自動車の普及は、交通事故の減少や、過疎地域の交通インフラとコミュニティの維持といった社会問題の解決につながるため、地方自治体の賛同のもとに取り組みを進めている。公共の場での実証実験にあたっては、取り組みの意義と将来展望を理解してもらうよう規制当局と対話を重ねている。年間8%の事業伸張の最大要因は、自らの取り組みがいかに社会的に意義があるものかを顧客や従業員に理解してもらい、それがブランド力の向上につながっていることである」と報告しました。同氏の講演を聞き、自らの事業の意義をさらに社会に訴えていくことが協同組合の発展に不可欠であることをあらためて認識しました。

 

(5) NTUC Incomeのデジタル・トランスフォーメーションの旅
 (事例報告2)

同組織は、デジタル先進国であるシンガポールの保険会社(25社)のなかで、デジタル・イノベーション部門第1位を受賞(2018年)しました。そのけん引役であるデジタル・トランスフォーメーション部長ジュリアナ・チャ氏は、「技術革新の流れに取り残されないために、スピード感を最も重視している。デジタル改革を担当する専任チームの設立や週次レベルでの新企画立案、他組織やスタートアップ企業との提携等を行っている」と報告しました。新企画の試行展開においては、「内容の完璧さを求めず、組合員のニーズをいかに迅速に実現していくかを重視している」という点が繰り返し述べられ、同組織の徹底した取り組みに会場全体が深い関心を寄せていました。

 

(6) AI利用の共済金査定業務高度化と業務最適化
 (事例報告3)

コープ共済連共済金企画部長 小野広記氏からは、2018年9月より本格運用が開始された共済金査定業務の仕組みが紹介されました。同氏は、「2011年度以降の共済金支払業務コストの増加を機に、アナリティクス・ライフサイクルの研究を進め、支払履歴1年分(130万件)の分析とシステム開発に6カ月、職員のシステム利用の習熟に3~6カ月と計1年間をかけて実用化に取り組んできた。不完全な情報収集と非効率性が支払業務における調査負荷を増やす要因であったが、予測スコアリングモデルにより、高精度な不正検知を効率的に実施できるようになった。このシステムにより、通常事案の予備査定にかかる時間の削減と支払いの迅速化を図ることができ、不正請求の早期発見と調査強化等も実現した。システム運用コスト削減と、契約者へのより良いサービス提供を実現するためには、現在共済団体ごとに異なっている業務システムや不正検知基盤等のシェアリング(共同利用)を検討すべきである」と述べていました。

コープ共済連資料
コープ共済連資料
3. セミナー2日目

 

(1) ヤングリーダー・プログラム ― 会員団体CEOとのフリーディスカッション

セミナー開始前の時間を活用して、若年参加者が4つのテーブルに分かれ、海外組織のCEOと意見交換を行いました(日本人参加者は3つのテーブルに参加)。経営危機の後に急成長を遂げた1CISP社(フィリピン)ロイ・ミクラット社長は、「組合員との対話」、「組合員目線で物事を考えること」を経営者として最重要視していると話し、ブロックチェーンの実用が始まっている先進的な同社においても協同組合としてのアイデンティティを堅持している点に参加者が敬服していました。また自社の働き方改革の計画についても触れ、「2022年には役職員の半数がテレワーク(在宅勤務)を行えるようにしたい」と語っていました。

FMG(ニュージーランド)クリス・ブラックCEOが参加するテーブルでは、若年層職員の心構えや組織の活性化等について意見交換をしました。同氏は「自組織の競争環境(顧客管理、技術導入、費用)を十分に理解し、失敗を恐れず挑戦することを期待する。組織を活性化させていくためには、役職員全体で価値観や将来展望を共有し、その意思決定プロセスの中に職員はもちろん組合員も参画させていくことが必要である」と語っていました。

グラハム・クラーク氏は、SDGsをはじめとする昨今の社会潮流に合わせて自らの事業を再定義することの重要性を語り、現代においてデジタル技術は組合員から支持を得るために不可欠なものであり、協同組合にはアイデンティティを保ちながらも大胆な発想と改革を期待すると話していました。

 

若年参加者とCEOとのフリーディスカッション
若年参加者とCEOとのフリーディスカッション
(2) デジタル・エンゲージメントによる強靭性と持続可能性の構築
 (基調講演Ⅲ)

グラハム・クラーク氏のこの講演は、「協同組合にとってのコミュニティの重要性について」がテーマでした。スラウェシ島(インドネシア)の地震被災者へのマイクロファイナンスの提供を事例に挙げながら、協同組合の価値の向上とその組合員基盤の拡大を目指すには、保険という事業の枠組みにとらわれず、「実現したい、支援したいコミュニティは何なのか」について考えるべきであるとの提言がなされ、コミュニティの形成や支援に必要な5つの要素(教育、金融包摂、収益確保、エンゲージメント、効果測定)についても解説がありました。

 

(3) アジアの主要テーマ
 (特別講演)

ウイリス・タワーズワトソン シニア・ディレクターのケビン・アンジェリーニ氏は、保険金請求手続きの簡素化や画像認識による支払査定、交通事故時のプッシュ通知連絡などの中国や香港等におけるテクノロジーの活用事例を紹介し、「医療費の増加が大きな課題となっている現代において、健康保険分野におけるインシュアテックの進展が見込まれており、個々人のゲノム情報を材料としたリスク分析とその対処法の提示といった予防プログラムサービスも始まっている。保険会社は顧客のライフスタイル改善サービスへと事業をシフトしていくべきだ」と語っていました。

 

(4) JA共済連のデジタル戦略
 (事例報告4)

JA共済連のデジタル・イノベーションによる業務改革を統括する歸山(きやま)好尚JA共済連常務理事からは、契約者サービスのさらなる向上と事務負荷の削減を図るためのスマートフォンの活用策や2012年から着手している現行システムの再構築についての報告がありました。また、AIやブロックチェーン導入のメリット・デメリットを見極めた活用方法の研究などについても述べられていました。

また、組合員とのさらなる信頼関係の強化にむけて、IT技術を活用した農畜産物・農業を基軸とした各種サービス(共済、金融、農業、農畜産物、医療、食、環境、文化、物流)のワンストップ化によるJA経済圏の確立を目指していくとの構想を披露するとともに、システム経費削減やテクノロジーの共同研究などを進めていくにあたっては、他団体との連携も検討に値すると語っていました。

現在、共栄火災や農林中金、他の共済団体等との間での研究や開発、利用を共同で進める構想があり、特にたすけあいの精神を共有する共済団体とはこれまで以上に連携していくことができるのではないかとの展望と、その橋渡し役として日本共済協会の役割への期待を語りました。

 

事例報告をするJA共済連 歸山常務
事例報告をするJA共済連 歸山常務
(5) デジタル・マーケティング・プラットフォームを通じた統合的ビジネス・マネジメント
 (事例報告5)

NH生命(韓国)デジタル・ファイナンス部シニアマネージャー キム・ジェボン氏より、「モバイル機器を通じた金融取引が普及しつつある韓国では、オンライン生命保険市場の新年度保険料収入が年平均40%で成長を遂げており、さらなるシステム投資やフィンテック担当部署の新設が各社で進んでいる。自組織はオンライン保険市場において首位企業となることを目標に掲げ、『ウェブ取引用に最適化された推進と商品開発』、『webやSNSによる顧客とのコミュニケーションの拡大』、『情報提供型コンテンツの構築』の3大戦略を掲げている。オンライン保険と各種モバイルサービス、ホームページを総合的なデジタル・マーケティング・プラットフォームとしてまとめ上げ、都市部の若年顧客や地方居住のその親世代を対象に推進を強化している」との説明がありました。かつては保守的といわれていたにも関わらず、次々とテクノロジーの導入を進める同組織の講演に参加者は引き込まれていました。

 

(6) オンラインでリレーションシップ・モデルを強化する
 (事例報告6)

FMG(ニュージーランド)オンラインサービス事業部長 グレン・クロースデール氏より、オンラインサービスの強化と協同組合アイデンティティの両立の取り組みが報告されました。

「2025年までに全取引の50%、2030年までに全取引の65%をオンラインチャネル経由とすることを戦略に掲げているが、それはあくまで顧客との関係を維持し、補強するためのものであり、顧客との密接な関係が戦略上の最重要項目であることに変わりはない。なお、システム開発にあたっては『スモールスタート』と『トライ&エラー』を基本に考えており、試行的に実施したオンラインサービスや保険金請求手続きの簡素化が軌道に乗り、現在、好評を博している」と述べていました。

「顧客にとっていかに簡単な使い勝手を実現するか」を至上命題に掲げる同氏による「利用者に焦点を当てていない機能、事業は必ず失敗する」との注意喚起は、各組織にとって心に留めておくべき重要な観点だと感じました。

 

登壇者によるパネルディスカッション (右 コープ共済連小野部長)
登壇者によるパネルディスカッション
(右 コープ共済連小野部長)
(7) 若手リーダーの旅-機会を得て潜在力を解き放つ
 (ヤング報告)

1CISP(フィリピン)のジャクリン・バレナ副社長は、若年にも関わらず役員に抜てきされた自身の経歴とともに、2017年ICMIFロンドン総会におけるヤングリーダー・プログラムの経験や、そこで得られた人脈を活用して同組織が2018年6月に実施した日本団体視察や自組織内部の若手職員研修の計画等を報告しました。

同氏は本セミナーにおけるヤングリーダー・プログラムの企画・運営にも携わっており、各会員の若い職員には積極的に自らの可能性を広げて欲しいと語るとともに、会場の各組織CEO等に対しても「若年層職員を信頼して、活躍と人脈作りの機会をさらに与えてほしい」と呼びかけました。

 

初開催のヤングリーダー・プログラムの参加者
初開催のヤングリーダー・プログラムの参加者
(8) eコール:より安全なモビリティと緊急通報の分野における模範的官民協力について
 (事例報告7)

IMA(フランス)国際モビリティ・オペレーション部ディレクターのマニュエル・ゴ氏と、同部マーケット部長のブノワ・リガーロー氏より、現在、フランスにおいて公共セクターと連携して提供している「eコール」サービスの紹介がありました。現在では全ての新車に「eコール」サービスに関わる機器の装着が義務付けられるようになっていますが、安定稼働するまでに重ねてきた幾多の失敗や政府との合意形成、規制準拠などに関する貴重な経験にもふれた内容でした。

 

4. おわりに

2日間にわたるセミナーにおいて最も感銘を受けたことは、デジタル・テクノロジーが隆盛の兆しを見せ始めている中で、各会員組織が新たな取り組みに挑戦し続けている姿でした。

主にシステム開発の文脈の中で、「アジャイル(英 agile:機敏な、素早い)」という言葉が複数の登壇者から聞かれました。保守的ともいわれる協同組合/相互扶助の保険組織が、時には拙速をも恐れずに果敢に試行錯誤を繰り返しているその姿は、市場から取り残されてしまうことに対するかつてないほどの危機感を表していると感じました。

国や規制環境がそれぞれ異なる中においても、各会員が同じ課題に悩み、挑戦している事実と、変わりゆく環境とテクノロジーの潮流の中で依然として協同組合のアイデンティティを掲げ続けていることに勇気づけられました。

今回のセミナーを通じて得られた刺激と協同組合組織としての自信が各会員のさらなる挑戦につながっていくものと確信するとともに、このような機会を会員へ提供してくださったAOA事務局、登壇者の方々へあらためて感謝を申しあげます。

 

3. 「ヤングリーダー・プログラム」運営の感想

Jackelyn_II

ジャクリン・バレナ氏
1CISP(フィリピン)・副社長

「千里の道も一歩から」(老子)

今回のセミナーにおいて、AOA事務局や全労済の方々とともに、本プログラムを企画・運営できたことを光栄に思います。

私自身がこの間参加してきたヤングリーダー・プログラム(2017年10月 ICMIFロンドン総会)やヤングリーダー・フォーラム(2018年11月 フィンランド)から得た学びをもとにプログラム案を検討しましたが、今回、言語の異なる方々とともにどのように成功させていくか考えることはとても難しいものであり、またその準備には1カ月以上を要しました。

しかし、「交流ディナー」の中でアイスブレイクとして行った「ヒューマン・ビンゴゲーム」や、参加者の決意表明をまとめた「コミットメント・ウォール」の作成、セミナー2日目朝の「会員団体CEOと若手参加者のフリーディスカッション」での活発な意見交換等、いずれも参加者23名の協力のもと成功裏に終えることができました。

香港で得た刺激をもとに参加者それぞれが自らの課題に積極的に挑戦していくことを期待するとともに、今回のプログラムが各自のさらなる飛躍の序章となることを祈念いたします。

 

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