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ICMIFブログ記事から: 相互扶助の違いが本当に重要となるとき- ICMIF事務局長 ショーン・ターバック

新型コロナウィルスの危機に対して、ICMIF会員が顧客、コミュニティ、そして時に自国を支援するためにいかに素晴らしい対応をしてきたか、皆さまはこれまでに私たちのウェブサイトで60件以上のニュース記事のいくつかをお読みいただいたものと思います。全ての記事が別個にそして全体としてインスピレーションを与えてくれます。我々の調査によれば、世界の協同組合/相互扶助の保険セクターは、自動車保険の保険料割り戻し、経済的支援、健康アドバイス、医療への寄付、ソーシャルインパクトボンド(債券)への投資、地域支援パッケージ、第一線の医療専門家をサポートする一般的な寄付など、80億米ドル(約8,600億円)を上回る経済支援を行ってきました。世界30か国以上からの記事がありますが、これらの記事は、本当に驚くべき世界的な対応を示しています。まだ読まれていない場合は、少しお時間をとって記事を確認することをお勧めします。

実際の危機に組織のリーダーは真のリーダーシップを発揮することが求められます。このことは、協同組合/相互扶助の保険セクターから豊富に見て取られます。必要とされるのはこの種の対応であり、さらに重要なことは、それが一般の人々に記憶されることです。コロナウイルスのパンデミックの最中における会員との会話から、相互扶助組織の対応の原動力は、危機時においても、例外なく「正しいことをする」ことであることが分かりました。ところが、2008年の世界金融危機に見られたように、「正しいことをする」ことは、ビジネスの成長につながる相互扶助の差別化要因となりました。したがって、いま現在は相互扶助の対応の推進要因ではありませんが、それは良い意味で意図せぬ結果となる可能性があります。

会員のニーズに応え続け、増大する顧客ニーズに実際に応えると同時に、職員に安全で安心して働ける職場環境を提供するという相互扶助セクターの弾力性は、高く評価されるべきです。実際に、非常に多くの企業がシフトすることによって、従業員、顧客、さらには環境にも同様に利益をもたらす可能性のある、より永続的な在宅勤務戦略の新たな世界が開かれるかもしれません。2020年11月までに在宅勤務を通常の勤務形態にするとした先週の米国のネーションワイド保険(Nationwide Insurance)の発表で、私たちはこの動きがすでに始まっていることを知りました。

相互扶助セクターの弾力性は、世界金融危機の際に支払い能力の面で大きく試されましたが、やがて反対に有利な立場に立つ結果となりました。現在では、投資と内部留保に対する保守的な長期見通しを持つ相互扶助セクターが再び嵐を乗り切り、かつてないほど強くなって新型コロナウィルス危機を抜け出す可能性があることが示唆されています。実際、フォルクサムレンスフォーシェクリンガーといったICMIF会員(いずれもスウェーデン)は、社会貢献債(ソーシャルボンド)に投資することで、世界的なパンデミックへの対応を支援する機会を得ています。

ですから、私の考えでは、会員団体からのさまざまな反応は、私たちの相互扶助セクターにとっての差別化要因になりましたし、これからもそうなるでしょう。また、世界のさまざまな国が封鎖状態から脱し始めるにつれ、新たなそして今までとは異なった世界が出現し始めると私は信じています。これは、社会が再構築され新しいグローバルコミュニティの精神が育つチャンスであり、それを通して、私たちは医療の従事者と制度を尊重し、私たちの隣人を尊重しサポートします。これは、私にとって協同組合/相互扶助の精神の具現化に見えますし、そう感じます。現在、通常どおりのビジネスというものは存在しません。現状を予測あるいは計画したビジネスモデルやシナリオはありませんでしたが、今までのところ私たちは地球市民として、これまでにない方法で協力しお互いに気遣ってきました。

ICMIF会員を差別化するものの一つに、連携と戦略の共有に向けた彼らの意欲があります。それらの戦略は、ビジネスの他の場所ではあまり見かけることのないオープン性を伴って機能します。配慮と援助についての記事は、互いに助け合い、コミュニティを支援しようとする意欲の証であります。世界は衝撃を受け、そして相互扶助セクターは、そのステークホルダーが「正しいことをする」ことによって対応しました。

コロナウイルス危機が長引く中、私たちの目の前には、気候変動というもう1つの世界的な危機があります。それはまだ遠い先の事で、危機を「解決」するための時間的余裕は残っていると思われている方もおられますが、私たちに時間はありません。それはゆっくりと私たちに忍び寄ってきましたが、回帰不能な地点に到達する前に、必要な対応を今行なうことが求められています。相互扶助セクターは、ゆっくりと燃えるこの気候危機に対処するために、資産と引受スキルの両者を動員してこの危機に一致した対応を行なうことができるでしょうか?

ICMIF協賛会員であるAviva Investorsの最高責任投資責任者Steve Waygood氏からは、先週のウェブセミナー「気候リスクの開示:TCFDフレームワークに準拠した報告の準備」においてこの課題について伺いました。それは私たちが立ち上がることができ、また立ち上がるべき課題です。実際に一部の会員は既に行動に移しています。

私たちは、気候変動への対応においても、新型コロナウィルスに対し行なっているような相互扶助セクターからの同様の集団的反応を活かし、相互扶助の違いをもう一度明らかにすることができるでしょうか?私はそれはできると信じており、そうなることを願っています。

2020年5月28日に開催される特別なICMIFウェビナーでは、3つの協同組合/相互扶助保険組織がコロナウィルス発生への対応を共有し、会員・保険契約者を助け、従業員の安全と事業の継続性を確保し、地域社会のみならずより広い社会を支援するためのさまざまな取り組み事例を示します。詳細および参加登録はこちらからお願いします。

※ 文中の金額は1米ドル=107.54円で換算

 

ICMIFサイトの英語ブログ記事(以下にリンクを表示)を許可を得て翻訳・転載しています。
記事日付 2020.5.11

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